CPS/IoTの総合展示会となった「CEATEC JAPAN 2017」では、数多くのロボットが展示されていた。後編では、大学や研究機関、通信キャリア、おもちゃメーカーなどのロボット関連のブース展示の様子を紹介する。
CPS/IoTの総合展示会「CEATEC JAPAN 2017」が10月3日〜6日、幕張メッセにて開催された。テーマを従来のIT・エレクトロニクスから大きく変更して2回目となる“新生CEATEC”だが、ロボット関連の興味深い展示が多かった。
電機メーカーの展示を中心に紹介した前編に続き、後編となる本稿では、大学や研究機関、通信キャリア、おもちゃメーカーなどのロボット関連の展示を紹介する。
慶應義塾大学のブースでは、独自に開発した力触覚技術「リアルハプティクス技術」のデモが行われていた。これは、位置制御と力制御を統合し、硬さや柔らかさなどの触覚をリアルに伝送できるという技術。この技術を実装したマスタースレーブ方式の双腕型ロボットが「General Purpose Arm」である※)。
※)関連記事:世界初の力触覚制御を実現した双腕ロボット、「固くて柔らかい」矛盾を解決
リアルハプティクス技術を事業化するため、大学発ベンチャーとしてモーションリブを設立。同社はリアルハプティクス技術を2cm角のICチップ「ABC-CORE」に搭載し、協力企業向けに先行提供を開始している。発売価格は未定だが、5万円以下になる見込みとのこと。
ブースでは、リアルハプティクス技術の応用例として、シブヤ精機のロボットハンドが紹介されていた。位置制御だけでなく、力制御も行われているため、柔らかさが異なる紙粘土でも豆腐でも、難なくつかむことが可能。同社はこの技術を、崩れやすい腐ったミカンの選別、排除に活用している。
産業技術総合研究所は、双腕ロボット「Nextage Open」を使い、扱いが難しい柔軟物を折り畳むデモを行っていた。深層ニューラルネットを用いた模倣学習手法を実装しており、少ない教示回数で、視覚と運動の関係を学習する。未学習の新しい対象でも、学習済みの内容を使い、柔軟に対処することが可能だという。
これは、NEDOの委託事業「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」による成果。ロボットを家庭に導入し、日常生活を支援させるには、さまざまなタスクに対応する必要があるが、動作の教示だけでは、環境の変化に弱い。この技術を使うことで、汎用性が向上すると期待されている。
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