KDDI(au)のブースには、テレイグジスタンスシステム「TELESAR V」が展示されていた。このシステムは、東京大学名誉教授の舘すすむ(実際の漢字は日へんに章)氏が開発し、2012年に発表したもの。映像、音声、触感を伝えることで、遠隔地にあるアバターロボットを、まるでその場にいるような感覚で操作することができる。
「なぜこれがKDDIブースに?」と疑問に思うかもしれないが、KDDIは2017年、ベンチャーファンドを通じて、舘氏が会長を務める大学発ベンチャーのTelexistenceに出資している。同社はTELESAR Vの技術をベースに、テレイグジスタンスシステムの製品化を進めているところで、最初の製品は2019年に登場する予定だという。
テレイグジスタンスにとって、通信技術は生命線ともいえる。期待される応用分野の1つとして遠隔医療があるが、「今の4G通信だと遅延が大きく、場合によっては致命的な影響が出る。遅延を1桁小さくするためには5G通信が必要」(ブース説明員)とのこと。
またテレイグジスタンスのシンプル版といえる「TORSO」も出展されていた。ロボットの自由度は6と少なく、カメラの向きや位置を動かす機能しかないが、遠隔会議などの用途ではこれで十分。テレビ電話よりも大きな存在感を得られるのがメリットだという。なお、このTORSOについては製品化は未定。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のブースでは、さまざまな研究開発プロジェクトが紹介されていたのだが、興味深かったのが「あらゆるモノを知能化! Makers向けAI搭載プラットフォーム」の展示。米国の人気ドラマ「X-ファイル」の会話データを学習させた“AIモルダー”と“AIスカリー”を対話させるというデモを行っていた。
このプロジェクトでは、AI技術をもっといろんな人に使ってもらって、新しい価値を創造することを狙っているという。そこで目を付けたのが、個人で草の根的にモノづくり活動を行っている“Maker”だ。具体的には、FPGAベースの「AIアクセラレータ」を開発しており、2018年3月ごろに3000円くらいで発売する予定とのことだ。
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