内視鏡手術支援ロボット「da Vinci(ダビンチ)」を展開するインテュイティブサージカル(Intuitive Surgical)は、日本国内における事業展開の進捗を説明するとともに、ダビンチ利用時のデータを活用できるモバイルアプリ「My Intuitive(マイ・インテュイティブ)」を発表した。
内視鏡手術支援ロボット「da Vinci(ダビンチ)」を展開するインテュイティブサージカル(Intuitive Surgical)は2022年3月2日、オンラインで会見を開き、日本国内における事業展開の進捗を説明するとともに、ダビンチ利用時のデータを活用できるモバイルアプリ「My Intuitive(マイ・インテュイティブ)」を発表した。
ダビンチは、内視鏡を用いた低侵襲の手術を支援するロボットとして知られており、米国を中心にさまざまな手術で利用されている。日本国内でも2009年に薬事承認を受け、2012年には前立腺悪性腫瘍手術で初めて保険適用の対象になった。日本法人であるインテュイティブサージカル合同会社 社長の滝沢一浩氏は「それでも2016年まで保険適用は2術式にとどまっていたが、2018年に一気に12術式が追加された。2020年にも7術式が追加され、胃や食道、肺などさまざまな手術で利用できるようになった。そして2022年は、さらに8術式が追加され、3術式の保険点数が増点されるなどしており、国内でのダビンチ利用は大きな転換点を迎えている」と語る。
インテュイティブサージカルは「治療成績の向上」「ケアチームの満足度向上」「患者の満足度向上」「総治療コストの低減」の4つを事業目標として掲げている。「高度なロボットシステム、一貫したトレーニング、価値のあるサービスを統合することで、ケアチームの皆さまの力を増大しより良い治療結果に導くためにも、データとデジタルツールは極めて重要だ。ダビンチでは、IoT(モノのインターネット)を実践してきた自負があるが、今回発表するマイ・インテュイティブなどの展開を拡大することでログデータを意味あるデータに変換し、治療成績、ラーニング、効率化という3つの好循環を生み出していきたい」(滝沢氏)という。
マイ・インテュイティブは、ダビンチを使用して行われた手術のログデータを可視化して執刀医に提供するアプリケーションである。執刀医が、自身のモバイルデバイスにマイ・インテュイティブをインストールした後、クラウド上からログインした状態のダビンチで手術を行うことで、自身の症例、手術時間(コンソールタイム)、使用した鉗子(インストゥルメント)の種類やその稼働時間などのログデータが集積され、確認することができるようになる。
ダビンチは40種類以上の鉗子が用意されているが、手術の状況に合わせて最適な鉗子を使用する必要がある。そこで、マイ・インテュイティブのログデータを使えば、どのロボットアームで、どのような鉗子を使って、どれくらいの時間手術を行ったかを、症例ごとに検索することができるので、ダビンチ手術をより効率的に行えるようになる。他にも、医師自身のデータを類似症例のコンソールタイムや使用インストゥルメントの全国平均と比較することで、自身の手術の傾向やラーニングカーブを確認できるので、手技や治療成績の向上にもつなげられる。
さらに、ダビンチを用いた手術のオンライントレーニングプラットフォームである「Intuitive Learning(インテュイティブ・ラーニング)」とも連携が可能で、専用シミュレーターを利用する場合には、実施した演習やそのスコアの確認などもマイ・インテュイティブから行えるという。
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