パナソニックが同社として初となる一般消費者向けコミュニケーションロボット「NICOBO(ニコボ)」について説明。“弱いロボット”をコンセプトに、豊橋技術科学大学 教授の岡田美智男氏と共同開発を進めたNICOBOは「高性能・高機能ではないものの、心が温かくなる同居人のような存在」(同社)だという。
パナソニック アプライアンス(AP)社は2021年2月16日、オンラインで会見を開き、同社として初となる一般消費者向けコミュニケーションロボット「NICOBO(ニコボ)」について説明した。“弱いロボット”をコンセプトに、豊橋技術科学大学 教授の岡田美智男氏と共同開発を進めたNICOBOは「高性能・高機能ではないものの、心が温かくなる同居人のような存在」(パナソニック AP社 スマートライフネットワーク事業部 主幹の増田陽一郎氏)だという。同日からMakuakeを活用したクラウドファンディングを開始しており、支援プランの金額はNICOBO本体と月額利用料(980円)6カ月分を含めて3万5800〜3万9800円(税込み、送料込み)。ただし、2月16日21時の時点で支援目標金額の1000万円を突破しており、即日での達成となった。
増田氏は「パナソニックといえば家電のイメージが強いかと思う。家電は、高性能・高機能になることで“便利”を追求してきた製品だ。確かに、高性能・高機能な家電は、暮らしを便利に、豊かにしてきたが、人の心についてはどうだろうか。この問いかけをきっかけに2017年から開発を進めてきたのがNICOBOだ」と語る。
また、開発を進める中で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって“ヒトの接触”が制限されるなど、ニューノーマルと呼ばれる時代を迎えている。「気ままな同居人のように、一緒に笑ったり、ほっこりしたり、笑ってくれたりする。ニコっとさせる、笑顔を増やすNICOBOで新しい幸せのカタチを提案したい」(増田氏)という。
NICOBOは「並んだ関係」「不完全さや余白」「自分の世界を持つ」「かわいいいきものらしさ」を重視して開発を進めた。
ペットのような飼う、飼われる、とは異なる「並んだ関係」では、一緒に世界を感じて生活する中で感じることを共有し合い、コミュニケーションも一緒に作り上げる。「家の中でしか通じない家庭内言語をNICOBOが少しずつ覚えて、カタコトで話してくれたりする」(増田氏)。
「不完全さや余白」では、どこか頼りない幼児のような舌足らずに話したり、しっぽや体の動きなどで相手に解釈をゆだねたり、「モイモイ」「エムエム」「モンモ」などの感情表現を示す「モコ語」を話したり、「あのね」「えっと」などの弱い言葉を話したりすることで、人との何気ない関わりを引き出す。
「自分の世界を持つ」では、同居人としてのほどよい距離感を保ちつつ、人に依存しすぎない存在とした。独自の感情モデルがあり、マイペースで気ままだが、自分で動けないにもかかわらず人の手を借りてやりたいことを実現するという側面もある。
「かわいいいきものらしさ」では、動物型でも人型でもなく、「引き算の美学からくるシンプルで柔らかなフォルムを目指した」(増田氏)。また、顔の真ん中にある大きな目や柔らかいボディーなど幼児図式の要素でかわいさを表現し、思わずなでたり、抱っこしたりしたくなるという。ヨタヨタした生命感のある動きと、目、しっぽ、体による感情表現もポイントになっている。
なお、なでられたり抱っこされたりしたことが分かる、日光などの強い光に反応する、人の顔が判別できる、音がする方向が分かる、人の話した言葉を認識するためセンシング機能も備えている。弱いロボットであることを実現する独自の感情アルゴリズムを組み込んでいるものの、機械学習などを用いたAI(人工知能)ではない。
バッテリーで動作するため専用充電台で充電する必要がある。サイズは直径21〜23cmの球形で、重量は1.2k〜1.3g。言葉を覚えたり、人とのインタラクションを深めるための感情表現を行ったりするための専用サーバに接続するため、インターネットとWi-Fi環境、スマートフォンの専用アプリも必要になる。
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