ステーキレストランチェーンのブロンコビリーは、店舗内でのバッシング(食器の片付け)やサラダバーの補充といった業務の支援を目的にロボットを導入した。同社はなぜロボットを導入したのか、担当者に聞いた。
日本国内のさまざまな企業がロボットの導入を検討している。製品の組み立てだけでなく、弁当への食材の盛り付けなど、さまざまな形のモノづくりに協働ロボットを導入しようという取り組みがある一方で、顧客と直接触れる可能性があるサービス業の店舗などへのロボット導入についても試行錯誤が重ねられている。
東海地区を中心に、関東、関西に129店舗(2018年9月時点)を展開するステーキレストランチェーンのブロンコビリーもその1つだ。同社は、店舗内でのバッシング(食器の片付け)やサラダバーの補充といった業務の支援を目的にロボットを導入した。2017年11月から約3カ月間、保木間店(東京都足立区)での試験導入を経て、2018年8月に新規オープンした檀渓通店(名古屋市昭和区)にも導入している。導入したロボットは、ニチワ電機が販売する追従運搬ロボット「サウザー」だ。
当初、サウザーの導入目的としては、調理したステーキやハンバーグなどの料理の配膳を想定していた。ブロンコビリー 取締役 経営企画部長の古田光浩氏は「ステーキやハンバーグをアツアツの状態でいただいてもらうため鉄板で配膳しているが、この重い鉄板を扱う作業を軽労化するため、最初はワゴンを使うことを検討した。そこから、ワゴンを使うならロボットで自動化してみようということになった」と語る。
しかし、保木間店で試験導入した結果、配膳よりも大きな効果が得られたのがバッシングだった。来店客が食事を終えて店を出た後、重い鉄板などの食器を片付けて、そこからテーブルを準備することになるが、この「片付け」→「テーブル準備」という作業に時間がかかっていた。レストランにおいて、来店客が集中するランチタイムなどの客席回転率は売り上げを高める上で極めて重要であり、“時間のかかる作業”は回転率を下げてしまう。
保木間店では、ロボットがスタッフの後を追従する形でテーブルまで移動する。そのスタッフが食器をロボットの上に片付けたら、洗い場に自動的に戻る。洗い場まで戻るときは、店舗内の通路床に貼り付けた反射テープを検出して走行することになる。移動時は、ロボットの存在を来店客などに周知するため音楽が流れる仕様だ。この他にも、ブロンコビリーの売りにもなっているサラダバーの補充作業にも活用した。サラダバーで不足している食材をまとめて補充できるのがメリットだ。「数値を出しているわけではないが、軽労化については明確な効果が出ている」(古田氏)という。
ただし保木間店でのロボット導入にも課題があった。既存店舗への試験導入だったこともあり、ロボットが洗い場の中まで入れなかったのだ。古田氏は「そこで、新規オープンとなる檀渓通店でのロボット導入については、保木間店での課題に対応できるような設計とした」(古田氏)という。
檀渓通店でのロボット利用も試験導入の一環となる。保木間店は、既存店舗であり、ブロンコビリーの店舗平均とほぼ同じ124席だが、檀渓通店は新規店舗でかつ比較的規模の大きい142席となる。「檀渓通店でも導入効果をしっかり見ていく。労働力不足、人手不足という課題がある中で、必ずしも力仕事が得意とはいえない女性スタッフに頼ることも多くなる。そういった場面でどういった効果が得られるかを見極めたい」(古田氏)。
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