安川電機は、人の実演によりロボットに動きを教える「実演教示機能」を開発した。研磨などの熟練作業でも容易にロボットに教示できるようになり、ユーザーの負担軽減やシステムの立ち上げ時間の短縮などに寄与する。
安川電機は2017年6月19日、人の実演によりロボットに動きを教える「実演教示機能」を開発したと発表した。研磨やバリ取り、組み立てなどの複雑な接触作業への適用を見込む。熟練作業の教示が容易になることで、ユーザーの負担軽減やシステム立ち上げ時間の短縮などに寄与する。
実演教示機能は、作業を実演中の人の手先の位置姿勢や力をセンサーで計測し、計測データをロボットの動作に自動変換することで動作を教示する。曲面形状に合わせた3次元的な軌道や力加減といった複雑な作業を、容易に教示できる。
一般的なロボットは位置姿勢の再現は得意だが、力加減の再現は苦手とされる。実演教示機能は学習機能も備え、ロボットが自ら練習を繰り返し、教示した熟練作業者の技能を再現できるようになる。また、生産ラインのレイアウトを変更しても再学習により実演時の技能を容易に再現できるため、短時間でラインを再稼働できる。教示データは、異なるロボット間で共有することも可能だ。
製造業などでは、労働力不足や労働コストの増加を解決するため、産業用ロボットの導入ニーズが高まっている。しかし、ロボットに動作を教える作業がユーザーにとって大きな負担となるケースもあり、課題の1つとなっていた。また、一般的なプログラミングペンダントによる教示では力加減を教えられず、熟練を要する複雑な接触作業のロボット化は困難だった。
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