図7、図8は迎角を15度にした場合の翼周りの流速分布と静圧分布です。
図5、図6に示す迎角5度での結果と比べると、翼腹面側と背面側との圧力差が増し、揚力が増加していることが分かります。
さらに迎角を増加させて30度にした場合の翼周りの流速分布と静圧分布が図9と図10です。
図9を見ると、流速が大きいことを示す赤い領域が翼背面側の途中から消えていることが分かります。これは、流れが翼に沿って曲がりきれずに剥離したことを示します。結果として、図10から分かるように、翼腹面側と背面側との圧力差は主流方向に大きく傾き、揚力よりも抗力の方が大きくなります。これが失速と呼ばれる状態です。前述のように、解析領域が翼周りに限定している関係で、図は正しい解析結果とはいえませんが、傾向としては、そうなるとご理解ください。
次回は、計算条件の設定について説明します。また解析事例として、自動車周りの流れをシミュレートし、流体抵抗の発生する仕組みを見てみます。
伊藤孝宏(いとう・たかひろ)
1960年生。小型モーターメーカーのエンジニア。博士(工学)。専門は流体工学、音・振動工学。現在は、LabVIEWを使って、音不良の計測・診断ソフト、特性自動検査装置などの開発を行っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.