ソニーは2016年3月期(2015年度)第1四半期(4〜6月)の決算を発表し、CMOSセンサーなどのデバイス事業、ゲーム事業などが引き続き好調を続けていることを示した。
ソニーは2015年7月30日、2016年3月期(2015年度)第1四半期(4〜6月)の決算を発表した。2015年3月期(2014年度)までに取り組んできた構造改革の成果が出たことにより、テレビ事業をはじめ、多くの事業で黒字基調が定着しつつある他、CMOSセンサーなどのデバイス事業、PS4が好調なゲーム事業などが好調。スマートフォンなどのモバイル事業が不振であることを除いては、順調な結果を残した。
ソニーの2015年度第1四半期の業績は、売上高が前年同期比0.1%減の1兆8081億円、営業利益が同38.8%増の969億円、税引き前利益は同102.9%増の1387億円、純利益は同207.5%増の824億円という結果となった。第1四半期の純利益としては過去最高の結果となっている。ただ、これにはオリンパス株式の売却益やOrchard Mediaの持分再評価益などの特殊要因が含まれており「純粋な収益力が十分に高まっているかといえば、そうとはいえない」(ソニー 代表執行役 EVP兼CFOの吉田憲一郎氏)としている。
第1四半期の結果に対し吉田氏は「2014年度は『構造改革をやりぬく』を掲げて取り組んできたが、着実に成果は出つつある。テレビ事業は第1四半期も黒字を維持した。またカメラ事業なども成熟市場で着実にポジションが取れる製品力がついてきている。ただ現状では収益力は十分とはいえない。スマートフォンを中心としたモバイル・コミュニケーション事業は構造改革が1年遅れとなっている。またドル高に弱い体質になっておりこれらの体質も改善していく必要がある」と述べている。
モバイル・コミュニケーション事業の第1半期の業績は、売上高は前年同期比16.3%減の2805億円、営業損失は同254億円悪化し229億円の赤字となっている。2015年度通期の販売台数目標も2015年4月の3000万台から、2700万台に引き下げるなど、引き続き厳しい状況が続いている。
吉田氏は「スマートフォン事業は量を追わず収益性を重視する方針を示しているが、インドにおける競争の激化、ブラジルの市況悪化の影響から、量を縮小する動きとなった。また、ドル建て取引で製造などを行う一方で米国での販売量が少ないことからドル高に弱い経営体質になっており、為替の悪影響も受けた」と述べている。
ただ、構造改革については順調に進んでいるとし、2015年度中に構造改革を終え、2016年度の通期黒字化を目指す方向性は変わっていないという。
吉田氏は「テレビ事業を見ても新体制となり構造改革を進めた年度は大きな赤字が出た。しかし、徐々にそれを縮小して3年かけて反転した。モバイル事業についても2015年度は赤字を覚悟しても構造改革をやりきる」と語る。
一方で好調を続けるのが、CMOSイメージセンサーだ。第1四半期の業績でも増収増益を続けており、通期目標も上方修正を行った。また2015年8月からは計画通り月間生産能力を6万8000枚(300mmウエハー換算)に引き上げるという。今後は2016年9月までに生産能力を月間8万7000枚まで引き上げる予定だが、市場の動向次第では需給が逼迫することも考えられそうだ。
吉田氏は「当社のCMOSセンサーはスマートフォン向けが中心だが、スマートフォンにおけるカメラの位置付けはさらに高まってきている。従来は高級機向けが中心だったが、現在は中級機クラスでも採用されるようになり、引き合いは堅調だ。現状では計画している生産能力増強で間に合うと見ているが、スマートフォンの複眼化(カメラの2つ搭載)の普及が早く進めば、さらなる投資が必要になるかもしれない」と述べている。
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