アベノミクス第3の矢を実現する10のイノベーション【前編】安倍政権の命運を左右する?(5/6 ページ)

» 2014年12月05日 18時55分 公開
[陰山遼将,MONOist]

次世代交通システムの構築へ

 近年、普及車にも自動ブレーキ制御や追従走行といった安全運転支援システムが導入されつつある。こうした、自動車の制御を自動化する技術をさらに発展させ、ドライバーが関与しない完全な自動運転技術の開発を目指すのが「自動走行システム」プログラムだ。2014年度の予算配分は25億3500万円である。同プログラムでは、こうした車載技術に人、道路、自動車の3つが相互に情報交換を行う「ITS(高度道路交通システム)」を組み合わせた、新たな交通基盤技術の開発を目指す。

「自動走行システム」プログラムのPDを務める渡邉浩之氏(左)と同プログラムの概要(右)(クリックで拡大)出典:内閣府

 PDは、トヨタ自動車の顧問でありITS Japanの会長でもある渡邉浩之氏が務める。渡邉氏は同プログラムについて「単に技術を開発をするだけでなく、より安全な交通環境を構築して交通事故による死者数を低減させることが目標」と説明する。日本政府は2018年をめどに、交通事故による年間の死者数を2500人以下にすることを目標としているが、2013年度の死者数は4373人となっている。同プログラムでは、交通事故死者低減の見積もり手法やシミュレーション技術の開発も行うという。

「自動走行システム」のプログラムで扱う研究テーマ(左)と研究領域(右)(クリックで拡大)出典:内閣府

 自動車の自動運転に関しては、自動車メーカー各社が独自の開発を進めている。しかし、道路などのインフラの情報と、自動車の自動運転のシステムを組み合わせていくには官民が連携して研究開発を行っていく必要がある。今回のプログラムでは、道路の構造や路上環境といった情報を組み込んだ高度なデジタルマップの作成や、ITSを活用した先読み情報の生成、研究開発の国際連携など、協調研究開発が必要な領域を扱っていくとしている。⇒「自動走行システム」プログラムの詳細記事

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