日本近海の海底にはレアメタルなどの貴重な海洋資源が存在するとされている。SIPの「次世代海洋資源調査技術」は、これまで技術的な課題によって調査が進んでいなかった海洋資源の調査技術の研究開発を進めるプログラムである。2014年度の予算配分は、10プログラムの中で最大の61億6000万円。PDは、東京大学 名誉教授であり、国際資源開発研究センター 顧問の浦辺哲郎氏が務める。
浦辺氏は同プログラムについて「日本は国土の約12倍の面積となる管轄海域を所有している。その中には、レアメタルなどの多くの有用な海洋資源が眠っているとされているが、これまでの調査では有望な海域の特定などはできていなかった。その背景には、太陽光や電波が届かない深海での調査技術の不足といった理由がある。このプログラム、“海のジパング計画”では、近年やっと出そろってきた高性能センサーやロボット技術といった要素技術を活用した新たな調査手法の開発を行っていく」と説明した。
海底の調査を行う場合、保護の観点から調査区域の環境や生態系の監視を行う必要がある。同プログラムでは、海底調査と同時に行える環境/生態系の変動予測手法の開発も行う。こうした、調査技術と環境監視技術を両立する手法は、国際標準なども整備されていないという。浦辺氏は「このプログラムで開発した手法の国際標準化も視野にいれ、日本発の海洋資源調査事業を創出し、グローバルスタンダードとしての確立も目指す」としている。
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