ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。今回は日本の就業率の変化などをご紹介します。
今回は、働く人の割合を表す「就業率」を見ていきます。参照するのはOECDの統計データです。
今後、日本では少子高齢化が進み、労働者が減っていくことが確実視されています。一方で日本は失業率が低く、全人口に対して働く人の割合が高い傾向にあるようです。
一般的に15歳以上の人口のうち、仕事ができる人は労働力人口としてカウントされます。そのうち、実際に仕事を持っている人が就業者と呼ばれます。
人口に対する就業者の割合が就業率です。
就業率が低いということは、労働可能な人口に対して就業者が少ないわけですから、就業者を増やす余地があることを示します。一方で、すでに高い水準にあれば、労働者がこれ以上増える余地は限られてしまうことになります。
少子高齢化が進み、人手不足が深刻化するといわれる日本ですが、国際比較するとどの程度の水準なのか。統計データで確認していきましょう。
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まずは、最新である2023年の現役世代男性の就業率について、先進国で構成されるOECDのデータで国際比較してみましょう。
図1がOECD各国の現役世代男性の就業率を国際比較したグラフです。日本は84.4%と、先進国の中ではオランダ、アイスランドに次いで高い水準であることが示されています。
失業率が高いといわれるスペインやフランス、イタリアは70%強で先進国でも下位となりますね。ドイツ、英国、カナダ、米国などは80%前後となります。
日本の現役世代の男性はすでにかなり高い割合で仕事を持っていることになります。最新のデータだけでなく、時系列の推移も見てみましょう。
図2が主要先進国の現役世代男性の就業率の推移です。日本(青)は80〜85%の一定範囲で推移していますが、やや低下傾向の国もあります。
特にフランスは1970年代は日本とそれほど変わらない水準でしたが、1990年代までの間に大きく低下し、その後は横ばいになっていますね。主要先進国ではフランスとイタリアが70%前後で推移しています。
他の主要先進国もおおむね70〜80%程度でアップダウンしていますが、近年ではドイツが上昇傾向にあるのが目立ちます。男性労働者は総じて就業率が高く、とりわけ日本は高水準を維持していることが特徴といえそうです。
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