安倍政権が推し進める経済再生政策の「第3の矢」を実現する上で重要な役割を担っているのが、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」だ。年間予算がそれぞれ数十億円に達するSIPの10のプログラムについて、「SIPシンポジウム」の講演内容に沿って前後編に分けて紹介する。
内閣府は2014年12月4日、東京都内で「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP) シンポジウム 2014」を開催した。
安倍政権が推し進める経済再生政策は「3本の矢」から成ると表現されている。第1の矢である「大胆な金融政策」、第2の矢である「機動的な財政政策」は既に実行されているが、現在行われている衆議院選挙などでも今後の課題として上げられているのが、第3の矢である「新たな成長戦略」だ。
この新たな成長戦略を実現する上で重要な役割を担うと期待されているのが「科学技術イノベーション」である。SIPは、縦割り行政による弊害をなくした府省横断型の施策であり、日本の経済・産業競争力にとって重要な10の課題がプログラムとして選定されている。
これら10のプログラムの概要と、責任者となるプログラムディレクター(PD)は2013年9月に決定していた。約1年間かけてプログラムの詳細の策定が終わり、これから本格的な実行フェーズに入る。今回のシンポジウムは、そのSIPを社会全体に知らしめるために行われた。
10のプログラムのテーマは、「次世代パワーエレクトロニクス」「エネルギーキャリア」「次世代海洋資源調査技術」「自動走行システム」「次世代農林水産業創造技術」「革新的燃焼技術」「革新的構造材料」「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」「レジリエントな防災・減災機能の強化」「革新的設計生産技術」となっている。シンポジウムでは、各プログラムのPD(もしくはサブPD)が概要を紹介するためのプレゼンテーションを行った。本稿では、その内容を前編と後編に分けて紹介しよう。
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