NECは、ここでサーバやPCの診断技術を応用した。搭載されているHDDの振動波形を解析して、故障を検知するものだ。故障検知で培った波形解析の技術を、医療用途に応用したことになる。
NECが試作器の評価を行ったところ、医療認可基準である平均誤差5mmHg±標準偏差8mmHgを満たす測定精度を確認したという。なお、正式な医療認可基準の評価は、85人、255データ、医師の聴診法との比較で行うが、今回はその1/30程の規模で評価試験が行われた。
弱い圧迫で血圧を測定する利点は、患者の負担が減るだけではない。強い圧力をかける必要がないので、それほど強力なモーターやポンプを用いなくてもよく、電源電圧も低く済む。それによってカフの小型化と低消費電力化を図ることができる。試作器の重さは電源込みで約250gで、既存の製品(450〜500g)の1/2近くまで軽量化している。さらに、カフの容積も既存品の約1/2となっている。ちなみに250gは、「iPhone」をジョギング用アームバンドに入れたときの重さよりも軽いという。
血圧を高い頻度で測定することは、治療の効果の確認や疾病の早期発見において重要だ。「今回の技術によって、これまでよりも、血圧を24時間測定しやすくなる」(NEC)。さらに、負担が軽いので、新薬の開発などで血圧データを長期間にわたって収集する際、被験者の協力を得やすくなる。NECは、「今回の目的は大きく2つある。同技術を採用した血圧計を製造、販売してもらえるパートナーを探すことと、血圧データを収集し、“医療ビッグデータ”として提供することだ」と述べた。
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