明治大学は、出血性ショックの犬モデルを用いて、拡散相関分光法による微小循環不全のモニタリング技術を実証した。微小循環不全を早期検出することで、救命率の向上が期待される。
明治大学は2025年6月3日、出血性ショックの犬モデルを用いて、拡散相関分光法(Diffuse Correlation Spectroscopy:DCS)による微小循環不全のモニタリング技術を実証したと発表した。微小循環不全を早期検出することで、救命率の向上が期待される。国立循環器研究センターとの共同研究による成果だ。
さまざまな理由で臓器に十分な血液が届かなくなるショックは、命に関わる危険な状態だ。ショック状態では、心臓に近い太い血管の血圧などが正常なようでも、早い段階で酸素や栄養を細胞に届ける微小循環の働きが悪くなっている。
今回の研究では、ショック患者をリアルタイムかつ非侵襲的にモニタリングするため、犬モデルを用いて出血性ショックを誘導し、皮膚や筋肉の深部血流をDCSで測定した。DCSは近赤外光の散乱を利用して体内の微小な血流速度を測定する技術で、皮膚表面から深部組織内の微小血管内血流速度を血流指標(BFI)として測定し、従来の臨床指標と比較検証した。
その結果、BFIは出血量の増加とともに顕著に減少し、輸血によって回復することが分かった。従来の臨床指標である乳酸値や皮膚温と中心温の較差(ΔT)、混合静脈酸素飽和度(SvO2)、中心静脈−動脈二酸化炭素差(PCO2)ギャップとは、有意な相関を示した。
また、基準値に対する相対値(rBFI)35.5%未満が、乳酸上昇を100%という高い特異度で予測できることも示された。
これらの成果により、微小循環不全をリアルタイムで可視化する技術の開発が期待される。今後、ヒト臨床での実用化に加え、近赤外分光法(NIRS)などとの統合的活用により、集中治療現場への導入を進めたい考えだ。
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