制御システムの守り方――カギを握る「多層防御」と「状況認識」:制御システム技術者のためのセキュリティ基礎講座(4)(3/3 ページ)
こうして見てくると、制御システムのセキュリティは、ホワイトリスト型ウイルス対策のように制御システム向けの有効なソリューションがあるものの、まだまだ発展の余地が大きいと感じる。現在の流れは、情報系の技術を制御系に適用するという考え方が主流で、そのギャップを埋める作業が主な対策となっている。
しかし、このような状況を理解した制御システム技術者が増え、例えば、ホワイトリスト型ウイルス対策やネットワーク監視などの情報系の技術をうまく取り入れて、自身の制御システムと融合することができれば、他社との大きな差別化につながる可能性がある。ぜひ、そのような流れが国内で生まれてくることを期待しているし、それこそが筆者がこの連載を始めた最大の動機でもある。
「制御システムのセキュリティがなぜアツいのか」から始まった「制御システム技術者のためのセキュリティ基礎講座」だが、今回までで「どう守るか」の基本的な考え方やソリューションの例を理解いただけたと思う。これらを踏まえて、次回以降は、ここで紹介した個別のソリューションについて、詳しく掘り下げて紹介していきたい。次回は、制御システム環境下でのウイルス対策として、最近特に注目を浴びている「ホワイトリスト型ウイルス対策」について紹介する。
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