最後に、オプションの電磁石について説明します。電磁石というと小学生時代の理科の実験を思い出す方も多いでしょう。エナメル線の太さや巻き数を変えると磁力の大きさも変化する、電池のプラス/マイナスを変えると電磁石の磁力方向も変わる……。目に見えない電気を力に変える、そんな体験が面白かったですよね!
今回、電磁石部分をオプションにしたのには次のような理由があります。(1)本稿のメインはあくまでもブザーの扱い方であること、(2)電磁石を自作する必要があること、そして、何よりも大きな理由は、(3)電磁石の特性を理解していないとArduinoやPCを壊してしまう可能性があることです。
筆者は始め「クリップが1つ付く程度の電磁石でいいや」と軽く考えて、直径0.5mmのポリウレタン銅線を30回巻いた電磁石を作りました。これを何のためらいもなくArduinoにつなごうとした筆者に、友人は「ちょっと待てぇぇぇ〜!!」と全力で止めに掛かりました(ここは爆笑するところです)。
……。「良い子は決して、こんな電磁石をArduinoに直結してはいけません」ということで、ここで紹介する電磁石の回路は、友人による指導の下、安全に配慮した設計になっています。オプション機能を付けたい場合は、表1で指定した緑色の枠内の部品を使って電磁石を作ってください。
電磁石のパワーを変えたいとか、他の回路にも応用したいといった場合には、安全を考慮した回路設計になっているかどうかを、自分自身で計算してください。
電磁石は、直径6mm、長さ35mmのボルトに0.15mmのポリウレタン銅線を20m巻いて作りました。ボルトの溝でポリウレタン銅線を傷つけないように、あらかじめボルトにビニールテープを巻いておきましょう。ポリウレタン銅線の端を紙ヤスリでこすり、ジャンプワイヤをはんだ付けしておきます(画像7)。
電磁石は大きな電流を必要とするので、外部電源として単3乾電池を2本使用します。充電池は電流の供給能力が高いので使用しないでください(画像8、画像9、画像10、画像11)。
スケッチ1内の(オプション)としてコメントアウトしてある行をイキにすれば、電磁石が使えるようになります。もし、遊んでいる最中に電池や電磁石が熱くなってきたら、ゲームを中断しましょう。遊び終えたら、必ず電池を外しておくことをお忘れなく!
読者の方々は今回の記事を読んで「万が一を考えて、こういう回路を使うときは、PCからUSBで電源供給するのは止めて、ACアダプターを使おう!」と思うことでしょう。それは、とても賢明な判断です。
インターネット上には、さまざまな情報があふれていて、筆者も参考にしています。ただ中には「これ大丈夫かな?」と思うような情報もあります。また回路が安全であっても、自分がうっかり配線ミスをしてしまう可能性もあります。思いもよらぬトラブルを避けるために、
という、最低限の安全確認と安全に配慮した電子工作&実験をオススメします。エンジニアのお父さんはお子さんと遊びながら「安全とは何か」「安全を確保する具体的な方法」をぜひ伝えてほしいと思います。
今回は、圧電ブザーで音を鳴らしてみました。スイッチにドレミの音階を割り当てれば、カンタンな電子ピアノ(?)を作ることもできます。同じ回路でも、プログラム次第で違うガジェットになるのが電子工作+プログラミングの面白いところです。また、ブザーと光センサーを組み合わせれば「テルミン」もできますね。ご自身で、いろいろなアイデアを楽しんでみてください。
次回は、フルカラーLEDでムーディーなライトを作ります。お楽しみに!(次回に続く)
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