水中で魚の成長具合を簡単把握、動体も測定できる水中フュージョンセンサーCEATEC 2024

トリマティスは、「CEATEC 2024」に出展し、水中の様子を映像と点群情報で取得できる「水中フュージョンセンサー」を紹介した。養殖モニタリングや船体検査、インフラ点検サービスなどでの活用を目指している。

» 2024年10月23日 08時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 トリマティスは、「CEATEC 2024」(2024年10月15〜18日、幕張メッセ)に出展し、水中の様子を映像と点群情報で取得できる「水中フュージョンセンサー」を紹介した。

計測が困難な水中での測量や点検を簡単に

 CEATECでは今回、海洋産業の未来や海洋空間利用のポテンシャルを発信するため、特別企画として海洋DX(デジタルトランスフォーメーション)パビリオンを設置し、実演用のプールなどを用意した。トリマティスは、そのプールで水中フュージョンセンサーの実演を行った。

photo トリマティスの水中フュージョンセンサーで水中の物体を計測、撮影している様子。左側には魚の模型が動いている[クリックで拡大]

 トリマティスの水中フュージョンセンサーは、海中や水中で3Dデータをリアルタイムで取得するセンサーだ。水中の透過率は、近赤外線より可視光の方が高く、その中でも波長の透過率は季節や海域により異なる。また、測定対象物の色により反射光の量も異なる。トリマティスの水中フュージョンセンサーは、赤、緑、青の3色の半導体レーザーを使い、最適な光源を選択しながら高いSN(信号/ノイズ)比で正確に距離を測定できる。さらに、RGBカメラを内蔵し、色付きの3Dデータをリアルタイムで生成できる。

 RGBカメラとLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)を同時使用することで、水中の3Dデータをリアルタイムでイメージと点群の両面で効率的に取得できることが特徴だ。RGBカメラは同色のレーザー光をノイズとして認識するが、1フレームの時間内でレーザーによる距離測定とカメラ撮影を高速に切り替える特許技術(出願中)により、ノイズを低減し課題を解決した。「多くの水中用の計測技術は、リアルタイム性がなく、動体の検出などが行えないものが多い。水中フュージョンセンサーはリアルタイム性があるため、養殖の魚の育成状況などの把握なども可能だ」(ブース説明員)。

 今後は養殖モニタリングに加え、水中での船体検査や橋梁、港湾などのインフラ点検サービスでの活用を目指しているという。「現在は水中フュージョンセンサーは定置での利用が多いが、今後は水中ドローンに搭載して測定するような使い方も検討している。そのため、小型、軽量化に向けた研究開発に取り組んでいる」(ブース説明員)。

photo 水中フュージョンセンサーにより測定された点群データのイメージ(左)とRGBカメラによるイメージ(右)[クリックで拡大]

 トリマティスは、水中でのデータ活用に関する技術開発を推進するALAN(Aqua Local Area Network:エーラン)コンソーシアムの中心企業であり、これらの活動も併せて評価を受け、水中フュージョンセンサーはCEATEC AWARD コ・クリエイション(共創)部門賞を受賞している。

photo CEATEC AWARD コ・クリエイション(共創)部門賞受賞を紹介したパネル[クリックで拡大]

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