OKIは、静岡県沼津市の内浦湾で運用していた国内唯一の水中音響計測施設である固定式計測バージを33年ぶりにリニューアルし報道陣に公開。新たな名称は「SEATEC NEO」で、評価機材を吊り下げる開口部面積を1.5倍に大型化するなどした。
OKIは2023年9月29日、静岡県沼津市の内浦湾で運用していた国内唯一の水中音響計測施設である固定式計測バージを33年ぶりにリニューアルし報道陣に公開した。新たな名称は「SEATEC NEO」で、評価機材を吊り下げる開口部面積を1.5倍に大型化した他、計測室を拡大しており、業務効率の向上により年間の受入数を拡大する。また、太陽光発電パネルの電力を用いて夜間や休日にも気象センサーなどを稼働させられるようになった。投資金額は設備などを含めて約4億円。同社はSEATEC NEOの稼働を皮切りに、特機システム事業部が管轄する海洋事業の拡大を進める方針だ。同事業部では、2030年度の売上高目標として、2022年度比で倍増となる600億円を掲げているが、その原動力としていく。
SEATEC NEOの専有面積は、法制度上の制限から大きくすることができないため、1990年から33年間稼働してきた固定式計測バージの「SEATEC II」と変わらず長さ約30.0×型幅13.0mとなっている。その一方で、高さは約4.6mから約5.2mとなり、総トン数も約300トンから約350トンに増えている。また、開口部寸法は約7.5×約3.0mから縦横1mずつ拡大して約8.5×約4.0mとなり、搬入出扉の寸法も約1.7×約2.0mから約2.5×約2.2mに広がっている。なお、SEATEC NEOは特機システム事業部が保有し、OKIコムエコーズが同社のエンジニアリング事業の中核設備として運用していくことになる。
SEATEC IIでは2階の一部がデッキになっていたが、SEATEC NEOは全て室内となり、その分面積が広くなった屋上も太陽光発電パネルを設置するなどSEATEC IIと比べて活用範囲を広げている。出力6.22kWの太陽光発電パネルの電力は、定格容量24kWhの蓄電池に充電しておき、海洋観測センサーなどの付帯設備を夜間や休日に稼働するのに利用できる。防衛分野などの機密レベルの高い開発案件におけるセキュリティ確保のために、監視カメラも設置している。SEATEC IIのトイレは浄化槽式トイレ1基だけで男女の区別はなかったが、SEATEC NEOではより清潔性の高い燃焼式トイレを2基設置し、男性用と女性用に分けて運用している。
OKI 代表取締役社長の森孝廣氏は「OKIは海洋事業を将来的な成長の柱の一つと考えており、長期に渡って投資していく方針である。ここ内浦湾は湾外に出ると深海になるなど海洋ビジネスを進めていく上で最適な場所であり、33年間国内唯一の水中音響計測施設として運用してきた固定式計測バージを刷新することには大きな意味がある。地元である沼津市や漁協との信頼関係を重視しながら、地元貢献についても取り組んでいきたい」と語る。
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