見えないものを見えるようにするソニーのイメージセンサー、用途提案を推進CEATEC 2024(1/2 ページ)

ソニーグループは、「CEATEC 2024」に出展し、見えないものを見えるようにするSWIRイメージセンサーなどのセンシング技術を紹介した。

» 2024年10月17日 06時30分 公開
[三島一孝MONOist]

 ソニーグループは、「CEATEC 2024」(2024年10月15〜18日、幕張メッセ)に出展し、「Hello, Sensing World!」をテーマに、見えないものを見えるようにするSWIRイメージセンサーなどのセンシング技術を紹介した。

photo センシング技術を訴求したCEATEC 2024のソニーブース[クリックで拡大]

人が見えないものを見えるようにするセンシング技術

photo SWIRイメージセンサーのデモの様子。上部のSWIRイメージセンサー搭載のカメラで、SWIRの光を発している台を撮影。その台に載ったものを撮像している[クリックで拡大]

 ソニーグループでは、イメージセンサーを戦略製品の1つとしてさまざまな技術開発を進めてきている。従来は画像を捉えるイメージング技術としての進化だったが、今では人や空間を認識するセンシング技術へと発展し、積層技術などを組み合わせ、さまざまなテクノロジーとの融合が進んでいる。CEATECでは、これらを背景に、ソニーが持つセンシングの技術力を示すとともに、新たな用途提案などを行った。

 その中で、人間の目を超えるイメージング/センシングテクノロジーとして紹介されたのが、短波長赤外(SWIR/Short-Wavelength InfraRed)領域の光を捉えるSWIRイメージセンサーだ。SWIRイメージセンサーは、可視光から短波長領域(Short-Wavelength InfraRed)領域までを撮像できるが、例えば、透明に見える水はSWIRの中の1450nm付近の波長で見ると光を吸収するので水が黒く見える。そのため、どこに水分が含まれているのかが分かり、目視検査では判別が難しかった異物や食品検査などが行える。

 また、SWIR帯域の光はシリコンを透過する性質を持っているため、積層化が進む半導体の検査などでも活用が進んでいる。「ソニーのイメージセンサーの検査などでも使われている。半導体の積層化が進む中、検査に苦労するケースも増えており、積層化されたシリコンを透過して検査が行えるという点で引き合いは増えている」(ブース担当者)。

photophoto SWIRでシリコンは透過するため、カメラとの間に差し込んでも透過して見える[クリックで拡大]

 その他、物質による光の波長に応じた反射率や吸収率の違いを利用し、肉眼では同じように見えるものでも判別するような用途での使用を検討している。CEATECブースでは、ケースの中に入れ、同じように見える黒豆と数珠を、SWIRイメージセンサーで判別するデモなども行っていた。

photo 左下のケースには目視では判別できない黒豆と数珠が入っているが、プラスチックの数珠はSIRE帯域の光が透過して見えている[クリックで拡大]

 同様に目に見えないものを捉える技術として、グローバルシャッター方式を採用したCMOSイメージセンサーも出展している。一般的な民生用機器で使用されているCMOSイメージセンサーはローリングシャッター方式を採用しており、センサーの端から順番に読み出すために、動きの速い被写体を撮影した際にはゆがみが生じる。一方でグローバルシャッター方式は全画素を同時に露光し、読み出すことでこのゆがみを解消した高速撮影が可能だ。そのため人の目で判別できない高速移動する被写体でもゆがみなく正確に撮影できる。主に産業用のマシンビジョンカメラに搭載され、製造ライン検査、半導体製造装置、物流倉庫内の荷物のバーコードの認識などに利用されているという。

 CEATECブースでは高速回転する絵柄を正確にゆがみなく撮影する様子を示した。「CMOSイメージセンサーは基本的には産業用も含めてカメラメーカーに納めるケースが多いが、最近では物流倉庫などのエンドユーザーが独自仕様でカメラを作るケースも増えてきており、直接納める機会も増えてきている」(ブース説明員)。

photo グローバルシャッター方式のCMOSイメージセンサーのデモ。赤丸部では肉眼では判別できないほどの高速回転している絵柄も、青丸部分のように正確にゆがみなく撮影できている[クリックで拡大]
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