VTRヘッドシリンダベースの“いまいちな設計”を発見しよう甚さんの「バンバン板金設計でキャリアアップ」(14)(3/3 ページ)

» 2013年07月29日 11時00分 公開
[國井良昌/國井技術士設計事務所(Active Design Office),MONOist]
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甚

すんばらしいじゃねぇかい、エリカちゃん! どうやって、図4をイメージしたのか、ちょいと教えてくんねぇかい?

エリカ

前回の甚さんのアドバイスを応用したんですよ。図5の左側を見てください。これは、前回の図です。この応用です。つまり、ベテランのワザと呼ばれる「切り起し」のテクです。


図5 板金の曲げ加工による公差と切り起しの応用:「ついてきなぁ! 加工部品設計で3次元CADのプロになる!(日刊工業新聞社刊)より
良

うわぁ〜! エリカちゃんってすごいや! さすが、専門学校卒だね。やっぱり、僕も専門学校へ行けばよかったよ。


甚

いんや〜! ますます、すんばらしいじゃねぇかい、エリカちゃん! そんじゃ、「板金材料の平面度をそのまま生かした方が無難だと思いますけど」をもう少し詳しく説明しチくれ!


エリカ

これは、つまり……(図6)。


図6 VTR用ヘッドシリンダベースの理想形状:「ついてきなぁ! 加工部品設計で3次元CADのプロになる!」(日刊工業新聞社刊)より
エリカ

A部、B部、C部の3点固定をストレートで構成します。このとき、なるべく大きな略正三角形をなすことが、設計の職人ワザです!


甚

エリカちゃん、完璧な説明だぁ。機械設計にも、ホント、資格や免許が必要だよなぁ。仮に、資格と免許が存在しているなら、法律での規制が必要だな。「無免許は、違反行為!!」と言う具合になぁ!


エリカ

私も、その方がいいと思います。資格や免許制は学歴無用。少なくとも、良君のところの部課長さんのように、設計審査できない、検図できないでは困ります。


良

僕も、賛成! うちの部課長のように、設計審査できない、検図できないでは困ります。繰り返される社告・リコールの原因は、それなんですよ、きっと!


甚

いんや〜、オメェたちは若けぇのにしっかりしてらぁ。「好景気は、だらけた技術者を生む」「不景気は、立派な技術者が育つ」とはよく言ったもんだぜぃ。


 もう一度、良君がまとめた表1「料理人と設計者の職人としての相違」を見て、今回は終わりにしましょう。

表1 料理人と設計者の職人としての相違(再掲)

 筆者は今、職人、プロフェショナルとしての技術者の在り方を猛省し、その見直しをある大手企業と推進しています。

 「技術者の心得とは何か」――今、それを考え直すときです。

 また次回お会いしましょう。


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Profile

國井 良昌(くにい よしまさ)

技術士(機械部門:機械設計/設計工学)。日本技術士会 機械部会、埼玉県技術士。横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師。首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師。

1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師としても活躍中。「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社)と「ついてきなぁ! 『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」(日刊工業新聞社)をはじめとする多数の書籍を執筆。



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