金属製の灰皿やお菓子の缶など、身近な板金製品にプロテクニック「巻き締め」が使われている!
根川 甚八(ねがわ じんぱち)
根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん
国木田良太(くにきだ りょうた)
ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。80年代生まれのイマドキな若者。機構設計者。通称、良君
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
今回は、新たな溶接事例の解説に入っていきます。前回後半、エリカちゃんの登場に、甚さんも筆者も動揺して(?)、1つだけ解説を忘れてしまいました。今回は、まずその説明から入ります。
その前に……。
おぉ、昨日は悪かったなぁ、すっかり忘れちまった! 今から説明すんけどよぅ、そろそろエリカちゃんが来るから、ちょいと待っチくれ!
え!? 今日の特訓は、何と、エリカちゃんも一緒ですか。聞いてないっスよ! ワクワク、ドキドキ……。
フフフ、気合へいるだろーう?
スミマセン、お待たせしました。あれ? 国木田さん、いたんですか?
「いたんですか」って、ガーン……。
甚さん、さっき、Facebookで何も言ってなかったし。
いんやぁ〜、悪い悪い。ついはしょっちまったー、ははははは。
ちょっと甚さんっ! いつからFacebookやってるんですか? 聞いてないっスよ!
どうせオメェは、TwitterもFacebookも興味ねぇんだろ? いまだに折りたたみ式のガラケーだしな。フフフ。
そういう問題じゃないでしょーっ!
いんや〜、あんとき(前回)の飲み屋で、オレサマは酔っぱらチまってよう、オメェがトイレに行っている間に……フフフ。
フフフ……。
えっ!? 一体、何したんですか! このおやじ、許せなーいっ! トイレに行ったすきを狙うのは、ジゴロかプレーボーイの常とう手段ですよ!!
さて、その行為を日本では何というでしょーか。当たるまで帰れまテン! 「1.先がけ」「2.前かけ」「3.抜けがけ」。
何もないですよー。
あっ! 笑われた! もう、そんなのどうでもいいですよっ! 甚さん、今日は何か、テンションおかしいしっ!!
別におかしくねぇよーう。いつもとおんなシだぜぃ?
ほらほらっ。2人とも遊んでないで、早く勉強しましょう! この図1は、板金の溶接に関するノウハウでしたよね? 甚さん?
おぉ、そうよ! エリカちゃんは、ていしたもんだぁー。それにひきかえ、院卒のコイツときたらよぅ。6年間も大学行ってたくせに、英語もしゃべれねぇときたもんだぁ。
エリカちゃんの前で勘弁してください……。
前回のテクニカルキーワードは、以下でした。
今回は、3と4を組み合せたテクニックについて解説していきます。
そのとき教えてもらいましたよね。「w≧2t+R」の記載がA部とB部の2箇所(図1)。隣の板金部品には「1.5(mm)以上」の寸法記載がありましたね。
おぉ。オメェさん、結構、酒飲んでたのに、良く覚えているじゃねぇかい。あん? つまシ、3つの設計ポイントがあったわけだよなぁ。
僕、覚えてなかった……。
それでは、もう一度、図1を見てください。板金設計の溶接に関するポイントは、まずは「1.5以上」を優先します。そのためには、左右対で存在するA部とB部の「w≧2t+R」を調整しながら「1.5以上」を確保します。もちろん、図1の上部に位置する展開図を見ながら、また、展開寸法(第4、8、9回で解説済)で調整します。
ここまで絵辞書や展開図、展開寸法について、何度も解説してきました。ということは、少なくとも「絵辞書、展開図、展開寸法」を知らなければ板金設計は何もできないことになります。それほど重要な実務知識ということです。
「1.5以上」とありますが、例えば、「1.4」となったらダメなんですか?
おぉ、たまにはいい質問するじゃねぇかい。「じゃあ、『8.5mm』はOKなんですか?(1.5以上だから)」とか聞いたら、ブン殴っていたところだぜぃ! 「1.5以上」とはな……。
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