あれ? どこかで見たことがある箱だけど? ――いやいや、新しいお題です。レゴブロック箱から板金箱にできるかな? 今まで紹介した設計ワザを組み合わせて考えてみよう。
根川 甚八(ねがわ じんぱち)
根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん
国木田良太(くにきだ りょうた)
ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。80年代生まれのイマドキな若者。機構設計者。通称、良君
沢田恵梨香(さわだ えりか)
ADO製作所 PC事業部 設計2課に勤務する派遣社員。良君のい〜加減な設計を製図でしっかりフォローする優秀な設計アシスタント。製図専門学校卒。通称、エリカちゃん
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
「『料理を設計、料理人を設計者』に例えて解説します。どちらも職人がなすことなのでよく理解できるから」――これは、筆者が学生やクライアント企業に対してよく使うせりふです。例えば、図1を見てみましょう。
「CoCo壱番屋」という豊富なメニューをそろえたカレーの全国チェーンがあります。そのライバルは、同業のカレー店であり、コンビニ弁当であり、回転寿司(すし)であり、牛丼屋でしょう。
生き延びるためには、常に新作カレーの企画を何案も練り、選ばれた企画だけが、CMやポスターなどに投資をされ市場投入されます。
図1はよぉ、オイラも、大工もほぼ同シだぜい。
そうみたいですね、甚さん。私の父もお寿司屋さんなので、よく分かります。
「甚さんの「技術者は材料選択から勝負に出ろ!(1):設計で使える! 甚さんの材料特性データ」の2ページ目を見てみてみましょう。
そうです。大工も寿司屋も同じです。職人は全て同じようなステップを踏んでお客さまが満足する商品やサービスを提供しているのです。
もう一度、図1を見てください。図1の左右1〜7は相互に対応します。右側がトラブルの未然防止のための「FMEA」という設計手段です。言い換えればトラブル未然防止のために、設計職人が使う「道具」です。
筆者が設計コンサルタントとして企業を訪れたとき、設計者から“驚きの”反応がありました。
これは衝撃的です。
こんじゃ、手抜きの職業集団じゃねぇかい。
ちなみにこれ、うちの会社のことです……。毎度すいません……。
これはショックです。こんな会社に派遣設計者として雇われていたんですね。そういえば、国木田さんの上司の言動もちょっと変なんです。出図の納期ばかりうるさく言って、全く検図しないんですから。
そうなんです、エリカちゃん。うちの課長も部長も「検図できない管理職」なんです!!
べらんめぇ。ちょいとオイラもめまいがしてきたぜぃ……。このまま続けると、話が暗〜くなっちまう。また今度、飲みの席で話そうじゃねぇかい、あん?
賛成ですっ!
気を取り直して、前回の続きに戻りましょう! 前回の課題は、図2のようなボックス形状を具現化することでしたね。
第11回の設計課題と似ていますが、ちょっと違います。
第11回の「“上”向きシールドボックス」は、誰でも思い付く構造の板金箱でした。今回の「“下”向きシールドボックス」は、ちょっとした逆転の発想です。蓋(ふた)がいらないのです。
繰り返しになりますが、設計とは組み合わせの技術! 何も恐れることはありません! 次ページでレゴブロックの構造を具現化してみましょう。
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