ヒントは「引っ繰り返す」! 難しくない板金設計ワザ甚さんの「バンバン板金設計でキャリアアップ」(13)(2/3 ページ)

» 2013年06月26日 10時00分 公開
良

あの、もうちょっと考える時間を……。

エリカ

私はもう考えてきました! これでいかがでしょうか?(図3)


図3 板金ボックスの新課題の具現化
甚

すんばらしいじゃねぇかい、エリカちゃん! どうやって、頭の中のイメージ(レゴブロックの絵)を具現化したのか、ちょいと教えてくんねぇかい?


エリカ

分かりました。まず、前回の甚さんのアドバイスを応用しました。「設計とは組み合わせの技術」に尽きます。今回は新しい発想は避けてみました(図4)。


図4 設計は組み合わせの技術(「ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロになる!」日刊工業新聞社刊)

 図4の上側は、第11回で紹介した「組み合わせの技術」です。その下側が、今回のエリカちゃんのアイデアです。板金箱を裏返しています。

良

うわぁ〜! エリカちゃんってすごい! さすが、専門学校卒だね。僕も専門学校へ行けばよかったなぁ……。シュン……。


甚

いんや〜! ますます、すんばらしいじゃねぇかい、エリカちゃん! しかし、ちょいと残念なところが一カ所ある。良君、エリカちゃんの図面を検図しろ。これは命令だが、ま、いつもやってんだろ?


良

え〜〜とぉ、……え〜〜とぉ。


エリカ

ドキドキ……。


甚

さっさと言いやがれ!


良てへぺろ

え〜〜とぉ……ワカンナイ! 残念ナトコロッテドレカナァ? テヘペロー。


エリカ

うわっ、イラッとしました!


甚

オメェは、いつからローラになったんだぁ、あん!?


良

じょ、ジョークですよ! 緊張した場を和ますための!


甚

和ませなくていい!! いつまで待っても答えはで出ねぇだろうだから、図5を見ろ!! さっさとな!


 図5における取り付け穴の称呼寸法は、「L1=L2=300mm」とします。

図5 第11回の板金箱と今回の板金箱の相違(「ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロになる!」日刊工業新聞社刊)
「称呼寸法」:「公差を含まない理論値」もしくは「ノミナル値」。後者を推奨。「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社刊)を参照。


 まず、図5の左側、つまり第11回で紹介した板金箱の取り付け穴に注目してください。

 「L1±ΔL1=300±0.22」となります。図示せぬ取り付けねじをM4とした場合、図5にある左右に2個ずつある取り付け穴は「φ5」で十分でしょう。

 ここで、前述の「±0.22」は、図6で求めました。

良

どおお! 何、ナニ、これっ! 大学や大学院では見なかったデータですぞ〜。もう、ショック……。


図6 板金部品における穴と穴の公差(プレス加工時)(「ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロになる!」(日刊工業新聞社刊)

 次に、図5の右側、つまり、今回の板金箱の取り付け穴に注目します。

 「L2±ΔL2=300±2」となります。なんと、公差の「±2」は、前述の9倍です。図示せぬ取り付けねじをM4とした場合、図5における左右2つずつの取り付け穴はφ5では不十分です。図7のように片側を丸穴から長穴に変更する必要があります。

図7 ねじの取り付け穴を丸穴から長穴に設計変更

 「L2±ΔL2=300±2」の「±2」は、図8の「4回曲げ」で求めました。

図8 板金部品の曲げ回数における穴と穴の公差(プレス加工時)(「ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロになる!」日刊工業新聞社刊)

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