板金のボックス形状設計のコツを押さえて、脱・素人! 材料選定や箱の四隅のすき間をなくす理由について、あなたは明確に答えられる?
根川 甚八(ねがわ じんぱち)
根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん
国木田良太(くにきだ りょうた)
ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。80年代生まれのイマドキな若者。機構設計者。通称、良君
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
甚さん! 前回の第6回は充実していましたね! 一気に板金設計のベテラン域に入れたような気分です。多分、甚さんの無駄話が少なかったからですよ。
ハァ? 「無駄」だと〜ぉ? あーん!? オメェなんか、そこにいるだけで無駄じゃねぇかい。第一、CAEだけで飯食っていけると思ってんのかよっ、あんっ?
そんなことないです! それに今は、「頑張れ! 日本」の社内活動として、被災地支援プロジェクトもやっています。甚さんだって、知っているじゃないですか〜?
おうっ、そうだったなぁ〜。
そうそう甚さん、無駄といえば、うちの会社の課長と部長! 課長は、仕事に熱中している時間より、喫煙室でスパスパしている時間の方が長いんです。部長は、ゴルフと退職金と年金の話ばかりしていて、毎日希望退職の募集を待っています。ああ、そんな上司が情けない! 無駄、むだ、ムダ!
オメェの会社はもう、そこまでいっちまったのかぃ……。企業内改革は、ちと厳しそうだなぁ。オレサマとしてはよぉ、転職は推奨したくねぇが、今からパワーアップして、転職に備えた方がよいかもなぁ、あん?
先週、筆者は隣国大企業の日本法人で、セミナー&コンサルテーションを実施してきました。初日にはセミナーを実施しました。受講者は、ピタリ、20人――「おや?」と思いました。“ピタリ20人”というのは、適切なセミナー参加人数の限界だからです。日本企業では予算をケチってなるべく多くの受講者を募りますが、それは最大の無駄です。約半数の受講者が寝ていますから……。
そこで、主催者に聞いてみました。「どうやって、20人を募ったのですか?」と。
すると、「選抜制です」と、驚きの答えが返ってきたのです。筆者は、驚いただけでなく、「いよいよ、技術者の世界も本格的に変わってきた」ことを実感しました。
この企業の本社は隣国です。筆者は「甚さん」シリーズの記事で隣国企業の様相について何度かお伝えしました。第5回では、隣国におけるセミナーは「開催は日曜日で、朝9時開始。それより前の8時から前列の席取り合戦」だと書きました。
うーむ。僕みたいなタイプはですね……、むしろ、今の会社の環境の方がお似合いかもしれない、と思ってしまいました……。
おぉ? やっと気が付いたか〜? オメェは、富士山麓大学の院卒。しかも、首席で卒業だぁ。頭がよいのは分かる。しかしよう、何と言ってもハングリー精神とか、危機感が全っ然ねぇ〜と、きたもんだ。
うーううううう……。図星ぃっ!! あああ、そんな自分が情けない! とほほ、そんな自分が無駄な存在ですよ……。
甚さんの言う通りかもしれません。それに、良君だけではないかもしれません。「衰退している日本企業と、勢い付く隣国企業の差は、経営の迅速な判断にある」と経済誌などが分析しています。筆者は“技術屋”故、企業の経営状況は分析できませんが……、技術力や技術者の質ならどうにか分析できます。前述の課題に対する策について、次回以降で解説しましょう。
甚さん! 横道にそれてないで、本題の「バンバン板金設計」の解説に早く戻りましょう!
ホイきた、ガッテン承知!
第6回で紹介した「バンバン板金設計の即戦力になるフロー」を確認しましょう。
今回解説します。
これで、ベテラン設計者の90%まで追い付けます。
本連載の次回以降で解説します。
これで、ベテラン設計者の100%です!
えっと、今回は「5.板金設計の“調味料”を使用できること」を教えてくれるんですよね? 「調味料」って何ですか?
おうっ、それは今から教えるぜぃ!
甚さん! 「ゆめぴりか」って何ですか?
それは、北海道のおいしいお米……バーロー! 「横道にそれんな」と言ったのはオメェだろうがっ!
筆者は、新商品を見掛けると、すぐ購入します。北海道産の米、「ゆめぴりか」もその1つでした。おいしい“普通”の米です。妙にネバネバ、モチモチ、テカテカしているよりも、普通がいいのです。カレー、チャーハン、マグロの漬け丼、そして、納豆や猫マンマ……。普通だから、どんな食材や調味料であっても合うのです。……さて今度こそ本題に戻りましょう。
板金部品は、せん断加工だけで製作する単なる平板の場合もありますが、多くは曲げ加工や絞り加工を施します。
「曲げ加工」と「絞り加工」については、「バンバン板金設計の即戦力になるフロー」の中にある「2.板金設計の絵辞書を携帯し使いこなす」を復習しましょう。
面倒くさがって、読み飛ばすことが負け組みの始まりよぉ! オレサマみてぇな、職人になりたきゃ、しっかり復習せぇ!
ちょっと! 何度も言いますけど! 僕は前回の内容までは完全理解していますよ。加工法も学びましたし、「待つだけのCAE」から「仕事取りに行くCAE」に改心したんですから!
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