村田製作所は、カーナビゲーションシステム(カーナビ)などの内部で回路基板とディスプレイを接続する際に、光ファイバーを用いる手法を提案している。
村田製作所は、「人とくるまのテクノロジー展2012」(2012年5月23〜25日、パシフィコ横浜)において、メインの回路基板で処理した映像データをディスプレイに送信するインタフェースに光ファイバーを用いる「FOT(Fiber Optical Transceiver)」を展示した。主に、カーナビゲーションシステム(カーナビ)などの車載情報機器内部で、回路基板とディスプレイを接続する用途を中心に提案しているものだ。
FOTは、回路基板側に搭載するトランスミッタモジュールと、ディスプレイ側に搭載するレシーバモジュールに分かれている。両モジュールは、両端に光送信ユニットと光受信ユニットを装着したプラスチック光ファイバー(POF)を使って接続する。トランスミッタモジュールには、POFの光送信ユニットであるVCSEL(垂直共振器面発光レーザー)を駆動するための回路が組み込まれている。一方、レシーバモジュールには、POFの光受信ユニットであるPD(フォトダイオード)から得た電気信号をTIA(トランスインピーダンスアンプ)などで増幅する回路を搭載している。
実際に機器に組み込む場合は、回路基板側にトランスミッタモジュール、ディスプレイ側に搭載するレシーバモジュールをそれぞれ実装する。その後で、トランスミッタモジュールにPOFの光送信ユニットを、レシーバモジュールにPOFの光受信ユニットをはめ込めばよい。
従来、ディスプレイと回路基板の接続には、広幅のFFC(フリップフロップコネクタ)やFPC(フレキシブルプリント基板)が使用されていた。しかし、高解像のディスプレイを搭載するカーナビでは、FFCやFPCの線数が増加してしまい、スペースが限られるカーナビ内部に収めることが困難になる。これに対してFOTは、「ノイズ放射の低減や信号品質の向上、接続線数の削減、長距離伝送への対応が可能になる」(村田製作所)という。特にノイズ低減効果については、干渉ノイズを最大10dB抑制するとともに、周波数帯に関係なくクロックノイズを低減できるとしている。
FOTの外形寸法は、トランスミッタモジュールとレシーバモジュール(レセプタクル)が4.0×6.8×1.2mm、POFの光送信ユニットと光受信ユニット(プラグ)が2.3×1.7×1.0mm。データ伝送速度は500Mbps〜2.5Gbpsである。消費電力は、データ伝送速度が2.5Gbpsの場合に20mWとなっている。
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