日本発の「CHAdeMO(チャデモ)」と、米独の大手自動車メーカーが推進する「Combined Charging System(コンボ)」が争っている電気自動車(EV)の充電規格。EVの普及に影響を与えないように、両規格の互換性を確保することはできないのだろうか。
現在市販されている電気自動車(EV)の満充電からの走行距離は、三菱自動車の「i-MiEV」が120kmもしくは180km、日産自動車の「リーフ」が200kmとなっている(ともにJC-08モードの場合)。一般的なガソリンエンジン車がガソリン満タンから500〜800km走行できるのと比べると、2分の1〜3分の1程度に過ぎない。その上、カーエアコンなどを動作させればEVの走行距離はさらに短くなる。
EVの走行途中で電池容量がなくなる“電欠”を防ぐには、ガソリンエンジン車がサービスステーションで給油するように、EV用充電器を使って充電する必要がある。しかし、ものの数分で満タンになるサービスステーションでの給油とは異なり、EVへの充電には時間がかかる。家庭用の単相200V電源を使ってリーフを満充電するのに必要な時間は約8時間。これでは、ドライブの最中に気軽に充電することはできない。
そこで、サービスステーションで給油するのとほぼ同じ感覚で利用できる充電器として考案されたのがEV用急速充電器である。ドライブルートの途中にEV用急速充電器が1台設置されているだけでEVの走行距離は2倍に伸びるし、ドライバーがEV用急速充電器の設置場所を知っていれば、電欠におびえずに運転できるようになるというメリットもある。EVの普及を進める上で、EV用急速充電器の果たす役割は非常に大きい。
「EVで先行する日本の自動車メーカー」という表現は、車両そのものや電動システム、リチウムイオン電池のことだけを意味するものではない。EVの普及に不可欠なEV用急速充電器の開発と実証実験についても、日本の自動車メーカーと電力会社の取り組みは世界に先行していた。
本格的な実証実験が始まったのは2006年6月で、東京電力と富士重工業が発表した、急速充電が可能な業務用EVとEV用急速充電器によって進められた。その後、三菱自動車や他地域の電力会社も参加して実証実験の規模は拡大していった。
そして2010年3月には「CHAdeMO(チャデモ)協議会」が発足した。同協議会は、EV用急速充電器の実証実験の成果を基に策定した規格であるCHAdeMOの国際的な普及を目的に、さまざまな活動を行っている。会員数は発足時の158社・団体から、2012年3月末時点で429社・団体に増えており、CHAdeMOに準拠するEV用急速充電器も、全世界で1393台(日本1154台、海外239台:2012年4月27日時点)設置されるまでになった。また、CHAdeMO準拠の急速充電器のメーカー数も国内外で30社以上に達するという。
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