2025年1月の日系自動車メーカーの生産は、メーカーによって明暗が分かれた格好となった。トヨタ自動車やダイハツ工業が2024年の認証不正問題の反動などにより大幅にプラスとなった一方で、米国や中国、東南アジアの低迷によりホンダや日産自動車、三菱自動車などが2桁パーセント減と厳しい状況だった。
2025年1月の日系自動車メーカーの生産は、メーカーによって明暗が分かれた格好となった。トヨタ自動車やダイハツ工業が2024年の認証不正問題の反動などにより大幅にプラスとなった一方で、米国や中国、東南アジアの低迷によりホンダや日産自動車、三菱自動車などが2桁パーセント減と厳しい状況だった。その結果、8社の順位ではスズキがトヨタに次ぐ2位まで上昇した。
2025年は、引き続き中国での伸び悩みや、タイの市場低迷などが予想される。さらに、主要市場の米国では、トランプ政権による追加関税の動きなど不確定要素が多い。輸出割合の多い国内生産への影響も懸念されるなど、サプライチェーンを含め日本の自動車産業にはこれまで以上に難しいかじ取りが求められそうだ。
1月の8社合計の世界生産は、前年同月比0.9%減の196万5743台と9カ月連続で減少したが、前年並みまで回復するなど減少幅は大幅に縮まった。前年実績を上回ったのはトヨタ、スズキ、ダイハツ、マツダの4社。国内生産が大きく回復し、同18.2%増の64万8550台と6カ月ぶりにプラスへ転じた。特に前年同月が認証不正で稼働を止めて0台だったダイハツや、認証不正による供給問題が解消してきたトヨタの影響が大きく出た。
ただ、海外生産は厳しく、前年同月比8.2%減の131万7193台と低迷し、9カ月連続で減少した。地域別では競争激化が続く中国が同21.1%減と大幅減となり、12カ月連続のマイナス。北米は、リコールにより長らく生産停止していたトヨタ自動車は増加したものの、ホンダの大幅減などにより、同1.3%減と6カ月連続の前年割れだった。
国内 | 海外 | (うち北米) | (うち中国) | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
トヨタ | 265,999 | 515,730 | 178,541 | 113,046 | 781,729 |
22.3 | ▲ 1.4 | 3.2 | 1.1 | 5.6 | |
スズキ | 81,298 | 223,864 | - | - | 305,162 |
3.6 | ▲ 0.4 | - | - | 0.7 | |
ホンダ | 44,857 | 224,311 | 120,466 | 52,904 | 269,168 |
▲ 20.6 | ▲ 20.1 | ▲ 11.1 | ▲ 38.4 | ▲ 20.2 | |
日産 | 52,112 | 191,325 | 96,833 | 46,727 | 243,437 |
▲ 4.5 | ▲ 13.0 | ▲ 0.5 | ▲ 35.8 | ▲ 11.3 | |
ダイハツ | 58,563 | 59,946 | - | - | 118,509 |
- | ▲ 14.4 | - | - | 69.3 | |
マツダ | 65,775 | 39,733 | 29,924 | 6,947 | 105,508 |
22.6 | 6.4 | 18.7 | ▲ 9.3 | 15.9 | |
三菱 | 42,555 | 32,449 | - | - | 75,004 |
▲ 1.7 | ▲ 32.3 | - | - | ▲ 17.8 | |
スバル | 37,391 | 29,835 | 29,835 | - | 67,226 |
▲ 17.0 | ▲ 2.8 | ▲ 2.8 | - | ▲ 11.2 | |
合計 | 648,550 | 1,317,193 | 455,599 | 219,624 | 1,965,743 |
18.2 | ▲ 8.2 | ▲ 1.3 | ▲ 21.1 | ▲ 0.9 | |
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、% ※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計 |
メーカー別に見ると、トヨタの1月のグローバル生産台数は、前年同月比5.6%増の78万1729台と12カ月ぶりにプラスへ転じるとともに、1月の世界生産として過去最高を更新した。けん引したのが国内生産で、同22.3%増の26万5999台と3カ月ぶりに前年実績を上回った。認証不正問題からの生産回復や、新型車効果が台数を押し上げた。
海外生産は、前年同月比1.4%減の51万5730台と11カ月連続で前年実績を下回った。地域別で見ると、主要市場の北米は、降雪の影響はあったが、運転席エアバッグのリコールで長らく停止していた「レクサスTX」と「グランドハイランダー」の生産を再開したことや、堅調な需要などで、同3.2%増と2カ月連続の増加。中国も、依然として電気自動車(EV)の販売競争が続いている他、春節の影響で稼働日が少なかったものの、販売低迷が一巡したこともあり、同1.1%増と12カ月ぶりに前年を上回った。
ただ、中国以外のアジアは厳しく、ローン審査の厳格化などにより主力拠点のタイが前年同月比18.8%減、インドネシアも同7.3%減と低迷。フィリピン(同12.5%減)やマレーシア(同22.8%減)、台湾(同31.4%減)も落ち込みが目立った。インドは「アーバンクルーザーハイランダー」や「イノーバハイクロス」などの販売好調で同3.2%増とプラスを維持したが、アジアトータルでは同5.3%減と12カ月連続で前年実績を下回った。欧州は「ヤリス」シリーズや「C-HR」などのハイブリッド車(HV)が好調で、同3.9%増と4カ月ぶりのプラスだった。
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