日本精工は電動車の駆動ユニット向けに小型軽量化深溝玉軸受を開発した。
日本精工(NSK)は2025年3月26日、電動車の駆動ユニット向けに小型軽量化深溝玉軸受を開発したと発表した。新開発の幅狭組み合わせ樹脂保持器などにより、従来比で外径を10%短縮、重量は51%低減し、大幅な小型軽量化を達成したとしている。軸受の幅狭化や低フリクション化、高速化も実現し、2030年までにグローバルで40億円の売り上げを目指す。
電動車の駆動ユニットに搭載される深溝玉軸受は、走行可能距離を拡大するために小型軽量化や幅狭化、低フリクション化、高速化への要求が高まっている。新商品は、強度や寿命を高水準で維持しながらこれらの要求にも応えるとしている。従来品に比べて幅は38%短縮、トルクは25%低減した。また、軸受の高速回転性能を示すdmnは214万以上を達成し、従来品のdmn180万から改善したとしている。
深溝玉軸受は代表的な転がり軸受。電動車ではeAxleなどの駆動ユニットの軸に搭載され、軸を保持したままモーターの駆動力をタイヤに伝える役割を担う。駆動用モーターは小型軽量化と高出力を両立するため高回転化が進んでおり、深溝玉軸受にも高速化やフリクション低減が求められる。
eAxleの構造は平行3軸/2軸/同軸の3つに大別される。2軸と同軸のeAxleは車両の小型化に有利で、シェアが2030年に2割を超えるとNSKは見込んでいる。ただ、2軸と同軸のeAxleは平行3軸に比べてユニットの軸長が長くなる傾向にあり、ユニット軸長を短縮できる幅狭化した軸受のニーズが高まるとみている。
新商品では、軸受の幅狭化と高速化のため幅狭組み合わせ樹脂保持器を採用した。従来の保持器は一方向から組み付ける構造で変形しやすく、変形を抑制するために保持器を幅広に設計する必要があった。新開発の幅狭組み合わせ樹脂保持器は剛性を向上させるとともに、軸受の両側から一対の保持器を組み付ける構造のため変形しにくくなった。平行3軸/2軸/同軸のいずれのeAxleにも搭載できる。
この他にも、小型軽量化に伴う衝撃荷重に対する強度低下への対応として、特殊溝肩形状を採用するとともに、強度設計を最適化した。また、小型軽量化に伴う寿命低下への対応で特殊熱処理鋼球を採用するとともに寿命予測の最適化を行った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.