コア事業となる二輪車事業とマリン事業には、3年間で研究開発費を2900億円(前中計から750億円増)、設備投資は2340億円(前中計から760億円増)を投じる。
二輪車事業は、商品ラインアップの魅力向上や、デジタル技術によるユーザーサービス強化に取り組む。ASEANや新興国ではこれまでのプレミアム戦略をさらに強化する。2027年までのフルモデルチェンジは電動車を含めて20モデル以上を予定しており、新しいプラットフォームやコンセプトを採用したモデルを順次投入する。また、デジタル技術を活用してユーザーに寄り添った体験を提供することで、顧客エンゲージメントを高める。電動化はプラットフォームの自社開発と社外との連携の両方で推進する。
マリン事業は船外機の150馬力以上の大型モデルでラインアップを拡充する他、統合ボートビジネスの推進によって顧客価値の向上を追求する。統合ボートビジネスでは、従来のマリン版CASEの戦略を発展させ、次世代操船システムやコネクテッド技術、シェアリングシステム、電動船外機によってさまざまなボート体験を実現するとしている。米国の研究開発機能も強化する。
ロボティクス事業は、ワンストップスマートソリューションによって成長と収益性を両立させる。成長分野に経営資源を集中させ、先端半導体向けのSEMI事業は設備投資を2.2倍に増やす。表面実装機のSMT事業は、車載向けでの拡大を見込んでいる。
SPV事業は海外完成車ビジネス事業を見直し、中長期的な成長が見込めるe-Kitビジネスと国内完成車ビジネスに注力する。e-Kitビジネスはダイレクトサービス機能の強化や供給リードタイム短縮、開発スピードの加速に取り組む。RVとゴルフカーを統合したOLV事業では、レクリエーショナルオフハイウェイビークルと低速モビリティの北米市場開拓に向け、2030年をターゲットに基盤を構築していく。
新規事業として、これまではモビリティサービスや低速自動走行、農業、医療省人化の事業化に取り組んできたが、モビリティサービス、低速自動走行、農業の3領域に注力することとした。
2024年は直近の中期経営計画の最終年度だった。セグメント別にみると、コア事業が安定的に収益を上げ、ROSが計画の11%を超えて13%に達するなど目標を達成したものの、成長事業は市況悪化の影響を受けて成長率が低下。新規事業は、新ビジネスや新会社の立ち上げなどが進んだものの、目標とする売り上げには届かなかった。
直近の中期経営計画では、構造改革事業として計画されていたパワープロダクツやプール、スノーモビルの事業整理、連結子会社であるヤマハモーターエレクトロニクスの吸収合併などを全て実行したとしている。
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