自動運航支援にサイバー防御、GNSS妨害対策など、船舶技術の最前線「Sea Japan」船も「CASE」(1/4 ページ)

2026年4月22〜24日の3日間、国際海事展「Sea Japan 2026」が東京ビッグサイトで開催された。本記事では、Sea Japan 2026の展示から、船陸通信と船内ネットワーク、GNSSジャミング対策と測位レジリエンス、さらに自動運航を支える航海機器、制御機器、検証基盤をピックアップしていく。

» 2026年06月02日 08時00分 公開
[長浜和也MONOist]

 2026年4月22〜24日の3日間、国際海事展「Sea Japan 2026」が東京ビッグサイトで開催された。Sea Japanは1994年から隔年で開かれている、造船、海運、舶用機器など海事産業の国際展示会で、2024年の前回開催で30周年を迎えた。今回は「次世代海事産業のための国際展示会」として扱う領域を拡大し、出展社数は630社、会期中の来場者は3万4268人となり過去最大規模となった。

 従来の造船、海運、舶用機器に加え、海事産業のデジタル化を扱うブースも増えており、前回から併催しているオフショア・港湾技術展「Offshore & Port Tech」に加え、2026年は「Digital Solution Square」を併催している。この企画は、デジタル分野における生産性向上、働き方改革、新たな価値創造に焦点を当てたもので、Sea Japan 2026全体でも100を超えるセミナーや次世代人材向けの企画を実施していた。船陸通信、衛星通信、サイバーセキュリティ、GNSS測位の信頼性、自動運航、操船支援、データを用いた運航管理の動向を見ていくと、海事産業でも「つながる」「自動化する」「サービス化する」という変化が進んでいることが分かる。

 本記事では、Sea Japan 2026の展示から、船陸通信と船内ネットワーク、GNSSジャミング対策と測位レジリエンス、さらに自動運航を支える航海機器、制御機器、検証基盤をピックアップしていく。

2年ぶりの開催となったSea Japan 2年ぶりの開催となったSea Japanは、昨今の緊迫する国際情勢の変動で海運関連の報道が急増する中での開催となり、東京ビッグサイトには多くの来場者が詰めかけた[クリックで拡大]

船を“つながる移動体”にする通信インフラ――KDDI

 船舶のデジタル化が進むほど、船は単独で海を走る機械ではなく、陸上の運航管理、クラウド、通信回線、保守サービスと接続された「つながる移動体」になっていく。その変化に伴って重要度を増すのが、船上システムのサイバーセキュリティだ。KDDIブースでは、通信インフラそのものよりも、船舶セキュリティへの対応を前面に出した展示が目立った。

KDDIブースでは、LACと共同で船舶セキュリティ関連の展示を展開 KDDIブースでは、ラックと共同で船舶セキュリティ関連の展示を展開。IACS UR E26対応支援、就航後のセキュリティ監視、サイバー防御演習などを紹介していた[クリックで拡大]

 その主役として取り上げていたのが、「IACS UR E26」への対応支援だ。IACS UR E26は、船上システムのデジタル化に伴うサイバー攻撃や脅威の増加を背景に、IACS(国際船級協会連合)が定めた統一規則で、2024年7月以降に建造契約を開始する船舶への適用と承認が必要になる。KDDIのブースでは、造船期間中の造船所、就航後の船主に向けて、船級承認に必要なサイバーレジリエンス関連文書の作成や提出、調査、試験、文書作成においてKDDIが代行することを訴求していた。

 KDDIでは支援対応範囲を「造船時」だけに限定していない。船級承認に必要なサイバーレジリエンス計画書の作成と提出だけでなく、その計画に基づく24時間365日の船舶IT運用、構成と変更の管理業務までを支援対象としている。建造時の認証取得支援に加えて、就航後の運用監視まで含めたサービスとして提供している。

 他にも、Starlinkを用いた船陸通信を含む構成例とともに、就航後の船上システムのセキュリティ監視運用を示していた。この運用では、船内にNavigation System、Propulsion System、NDR、PC、無線LANなどが並び、制御系のOT LANと情報系のIT LANの双方が監視対象となっている。監視項目にはインタフェースのUP/DOWN、メモリやCPUなどのリソース監視が含まれており、船上ネットワークを企業ITに近い管理対象として扱うコンセプトがベースになっていることがうかがえる。

 さらに、関連展示としてラックの「サイバー防御演習」も紹介していた。GNSSスプーフィングにより船位が誤表示される、AIS(自動船舶識別システム)スプーフィングにより架空の船舶が出現するといった攻撃シナリオを通じて、船舶特有のサイバーリスクを分かりやすく示していた。IoT(モノのインターネット)デバイスのペネトレーションテスト、ファームウェア解析、通信モニタリングなどを網羅するだけでなく、船舶セキュリティが単なる社内情報システム対策ではなく、測位、航海、通信、制御にまたがる領域であることも訴求していた。

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