ETロボコン2023はテーマとして「DXの波を乗りこなせ!」をうたっている。もはや組み込み機器において、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)を扱うことは当たり前になっており、これらIoT/AIを包括したDX(デジタルトランスフォーメーション)をソフトウェア開発にどのように取り込むかが重要になってきているのだ。
その考え方が明確に現れているのがコースレイアウトだろう。3クラスとも前半コースは同じレイアウトであり、直進、90度曲がるカーブ、直進、90度曲がるカーブ、直進という極めてシンプルな構成になっている。この前半コースでは、走行タイムから換算される走行ポイントが得られる。そして後半コースでは、IoTやAIといったDXが必要な「難所攻略」が各クラスで用意されている。走行ポイントと難所攻略で得られるボーナスポイントの合計がリザルトポイントとなる。
従来はスタート地点とゴール地点は別の位置にあったが、今回は同じ位置に設定されている。3クラスとも、難所攻略の終了後にゴールとなるスタート地点に戻る必要がある。なお、左回り(L)コースと右回り(R)コースの両方を走行し、良い方のリザルトポイントで順位付けするのはこれまでのETロボコンと変わりはない。
エントリークラスの難所は、運んだ距離に応じてボーナスポイントが得られる「ブロック運び」のみ。ETロボコン2022からの変更点として、エリア内にブロックが完全に入っていなくてもボーナスポイントが獲得できるようになった。
プライマリークラスとアドバンストクラスは共通の難所が2つ設定されている。「ダブルループ」は、前半コースの終了地点から始まる8の字走行のコースで、チェックポイントの通過でボーナスポイントが得られる。コースの最終盤にある「ブロック運搬」では、4×4の格子の各所に置かれている障害物を回避しつつ、ゴールまでブロックを運搬しなければならない。障害物の位置やボーナスが得られる格子の経由箇所については、プライマリークラスは所定のパターンから選択できるのに対し、アドバンストクラスはランダム配置となる。
アドバンストクラスはさらに2つの難所にも挑まなければならない。「ミニフィグ撮影」では、ダブルループの8の字コースの周回中央に置かれているミニフィグを、HackSpiのリアカメラで撮影してネットワークで送信する。より正面に近い状態で撮影できれば高いボーナスポイントが得られる。「IoT列車」では、ブロック運搬の横に設置されている円形コースを走るプラレールの列車を所定の位置に停車させる。各種センサー値や外部カメラで列車の走行位置を認識し、WebAPIを経由して列車の走行速度を遠隔制御して停車させることになる。
ETロボコンは、競技成績だけでなくソフトウェアのモデリングを審査するモデル審査もスコアリングし、これらの合計が最終結果となることを最大の特徴としている。ソフトウェアのプログラミングだけでなく設計技法も学べるので、企業における技術者教育で広く活用されているという背景がある。
ETロボコン2023はDXに主眼をおいていることもあり、難所攻略でロボットである走行体以外のシステムとの連携が必要になるアドバンストクラスについては、複数システムを用いた構成の設計や、画像処理、AI、ネットワークなどの活用も審査内容に含めるとしている。
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