シャープは、2025〜2027年度の中期経営計画(中計)を支えるエッジAI技術「CE(Communication Edge)-LLM」について説明した。
シャープは2025年6月17日、東京都内とオンラインで会見を開き、2025〜2027年度の中期経営計画(中計)で中核的な役割を果たす2つのブランド事業と研究開発の方針について説明した。
同社の中計は、「暮らす」の領域を中核に家電などB2C事業を展開するスマートライフBG(ビジネスグループ)と、「働く」の領域を中核に複合機やPC、スマートフォンなどB2B事業を展開するスマートワークプレイスBGという2つのブランド事業が2本柱となっている。スマートライフBGは、2027年度の営業利益率目標を6.0%、挑戦目標を7.0%以上としており、スマートワークプレイスBGは2027年度の営業利益率を7.2%とするとともに、スマートビジネス比率を30%まで拡大することを目標に掲げている。
これら両BGの中計目標達成に向けて大きな役割を果たすのがシャープのエッジAI(人工知能)技術「CE(Communication Edge)-LLM」である。会見では同社 専務執行役員 CTOの種谷元隆氏が、このCE-LLMの開発方針について説明した。
クラウド上での運用が一般的だったAIだが、PCやスマートフォン、IoT(モノのインターネット)機器といった現場側のエッジデバイスにAIモデルを組み込んで運用するエッジAIの採用が拡大している。シャープの推計によれば、エッジAIの市場規模は2024年度の2400億米ドルから年率20%で拡大して2027年度には7200億米ドルまで増加するという。
また、より巨大なAIモデルを用いる生成AIの登場によって、エッジデバイスへの組み込みの難易度は高まると見られていたが、プロセッサなどの処理性能の向上に加えて、LLM(大規模言語モデル)など生成AIモデルの小型化により、エッジAIの進化も加速している。種谷氏は「エッジAIの性能は今後数年で大幅に向上する。例えば、クラウドなどで運用するLLMよりはるかに規模が小さい、エッジデバイスに組み込みが可能なパラメータ数が10億レベルのLLMでできることは、2024年度の時点ではテキストチャットも厳しかったが、2025年度に入りハイエンドのスマートフォンのプロセッサであればそれなりの音声会話ができるようになっている。スピードもそれほど気にならない。そして当社の中計の最終年度である2027年度には、エントリーモデルのスマートフォンのプロセッサで、マルチモーダル対応や推論なども行えるようになるのではないかと見ている」と語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.