シャープは2024年度の決算を発表した。売上高は前年度比7.0%減の2兆1601億円、営業損益は273億円の黒字、当期純損益は360億円の黒字となった。
シャープは2025年5月12日、2024年度(2025年3月期)の決算を発表した。売上高は前年度比7.0%減の2兆1601億円、営業損益は273億円の黒字(前年度は203億円の赤字)、当期純損益は360億円の黒字(前年度は1499億円の赤字)となった。
シャープブランドで展開するブランド事業の3セグメントが全て増収だったが、デバイス事業の売り上げ減少で全体としては減収となった。一方、営業利益/経常利益/最終利益はディスプレイの構造改革の進展が貢献して黒字化し、大きく改善した。ブランド事業は売上高が前年度比10.0%増、営業利益が同23.1%増で2桁成長だった。
ブランド事業のうち、「スマートライフ&エナジー」はASEANでの高付加価値モデルの販売拡大や欧米での調理家電の伸長が増収に貢献したが、欧州でのエネルギーソリューションの事業収束費用や円安の影響で営業利益は減少した。
ブランド事業の「スマートオフィス」は、Windows 11への切り替え特需の追い風で法人向けモバイルノートPCのプレミアムモデルの販売が拡大した。日米でのオフィス向けソリューションの伸長もあり、スマートオフィスとしては増収増益だった。
ブランド事業の「ユニバーサルネットワーク」は、スマートフォンの「AQUOS wish4」「AQUOS R9」の販売が好調だった他、テレビ事業が海外で売り上げを伸ばした。国内でも、バックライトにMiniLEDを採用するXLEDやOLED(有機EL)のモデルが堅調で増収だった。売り上げの増加に加えて、一過性の収益もありユニバーサルネットワークの営業利益も増加した。
デバイス事業は、ディスプレイデバイスやエレクトロニックデバイスがともに大幅な減収となった。営業利益はエレクトロニックデバイスが減少したが、ディスプレイデバイスは構造改革の進展により営業赤字が縮小し、デバイス事業全体としても利益が大きく改善した。
2025年度の業績見通しは、売上高が前年度比14.4%減の1兆8500億円、営業利益が同26.8%減の50億円、当期純利益が同72.3%減の100億円を見込んでいる。米国の関税政策の影響を具体的に織り込むのが難しいとし、保守的な業績予想を立てたという。主な減益要因は2024年度に特許で一過性の収益があったためで、それを除くと増益となる見通しだ。
暮らしにかかわる「スマートライフビジネスグループ」は生成AI(人工知能)対応家電の拡販や海外での売り上げ増加、構造改革などの効果で130億円の増益と計画している。Windows 11の切り替え特需の反動減などが見込まれる「スマートワークプレイスビジネスグループ」は170億円の減益。ディスプレイデバイス事業は高付加価値商品の投入拡大や大型車載ディスプレイの販売比率向上、構造改革により71億円の増益を見込んでいる。
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