投資を抑制してきたシャープのブランド事業、今後は2倍以上の資金を投入製造マネジメントニュース(3/4 ページ)

» 2025年05月15日 07時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

家電などのスマートライフビジネスグループ

 グローバル化に向けて、ブランド事業は2つのビジネスグループに再編する。暮らしにかかわる「スマートライフビジネスグループ」は、スマートアプライアンス&ソリューション、テレビシステム、エネルギーソリューションなどの事業が属する。強みを生かせる領域にリソースを集中させながら、他社との協業も活用してシャープブランドをグローバルに展開していく。IoT(モノのインターネット)機器群による多面的なデータを活用したビジネスモデルへの転換も図る。

ブランド事業の方針[クリックで拡大] 出所:シャープ

 AI関連では、2025年度から生成AI対応家電を投入する。生成AIにより音声認識機能などを高度化するとともに、ユーザーインタフェースも改善する。これに向けて、商品別に分断していたデータの統合を2024年から進めてきたことを生かし、新たなサービスを展開していく。個別の商品でのAIサービス提供だけでなく、暮らし全体をサポートするAIサービスの事業化も目指す。

 インドネシアを中心にASEANは今後も高い経済成長が期待できるとし、事業の高付加価値化やサプライチェーンの効率化による競争力強化に取り組む。マーケティングやブランディングの投資も拡大する。米州では、ドロワーレンジ(ビルトインレンジ)での市場ポジションを生かしてキッチン家電の主要カテゴリーに参入する。中近東やアフリカではエジプトの企業との戦略的協業により、事業基盤を構築していく。

スマートライフビジネスグループの見通し[クリックで拡大] 出所:シャープ

働く場に向けたスマートワークプレイスビジネスグループ

 ワークプレイスソリューションやコンピューティングソリューション、モバイルコミュニケーションなどの事業は「スマートワークプレイスビジネスグループ」となる。ITと通信を融合した新たなプロダクトやサービスにより、ソリューション型ビジネスへの転換を加速させる。また、新規事業の立ち上げにも集中的に取り組む。

 ワークプレイスビジネスグループでは、ノートPCやスマートフォン、複合機などの既存商品の商品力向上やラインアップ拡充に取り組み、販売やサービスも強化する。また、M&Aを活用し、欧米でのマネージドプリントサービスの強化やオフィス全体に向けたライフサイクルマネジメントの連携商材拡大、議事録作成支援など独自AIを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューションなどを重点的に強化する。小売業向けのDXサービス、物流拠点のスマート化、衛星通信事業への参入などにも力を入れる。

スマートワークプレイスビジネスグループの基本戦略[クリックで拡大] 出所:シャープ
スマートワークプレイスビジネスグループの見通し[クリックで拡大] 出所:シャープ

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