サトーは、ミクロンサイズの銅粉を使った銅ペーストにより、印刷方式でRFIDアンテナを製造する新技術を開発した。純金属に迫る導電性と量産適性、低コストを両立しており、2026年の実用化を目指す。
サトーは2025年11月12日、一般流通するミクロン銅粉を活用した印刷方式のRFIDアンテナ製造技術を開発したと発表した。
今回開発した技術は、従来方式に比べて高い導電性と量産可能な安定した品質を保持しながら、RFIDアンテナの製造コストを削減できる。
独自の焼結工程により、酸化した銅粒子でも密に結合させることができるため、純金属に匹敵する導電性を安定して引き出せる。また、紙やPETフィルムなど幅広い基材に適用できる密着技術も確立した。電子デバイス製造で使われるRoll-to-Roll方式での大量生産にも対応可能だ。
RFIDアンテナはICタグの中核部品であり、情報の送受信性能に直結する機能を担っている。RFIDアンテナの製造法はアルミを使用する方式が主流だが、不要部分として処分する素材のロスが多く、加工に用いる版や型の管理も必要になる。
また、近年は高導電性の配線を印刷形成するFHE(フレキシブルハイブリッドエレクトロニクス)技術が注目されている。しかし、素材の銀ペーストや銅ナノ粒子が高価なことから、コスト面で課題がある。
サトーはこの潮流を踏まえ、低コストなミクロン銅粉の性能を最大化できる銅ペーストと製造プロセスの研究を進めてきた。今回の開発では複数領域で特許を出願しており、開発成果を基に、2026年の量産開始に向けてライン構築とRFID製品への実用化を進める。
将来的には真贋判定やリアルタイム監視、スマートラベル、センサー付きRFIDなどへの応用も視野に入れる。また、プリンテッドエレクトロニクスを活用した電子機器分野での展開に向け、他企業との協業も推進する。
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