プラットフォームの移行期を迎えたETロボコン。2015年大会はコースレイアウトが全面変更され、「新幹線を越える」難所も加わった。各チームの奮戦を、動画とともに紹介する。
組み込み分野における人材育成を目的としたロボット競技会「ETソフトウェアデザインロボットコンテスト2015」(ETロボコン2015)のチャンピオンシップ大会(全国大会)が2015年11月18日、パシフィコ横浜にて開催された。高校生チームから企業チームまで、全国から42チームが出場、ソフトウェア技術とアイデアを競った。
2002年に始まったETロボコンも、今回で14回目。「5年後、15年後に世界をリードするエンジニアの育成を目指す」という理念は変わらないものの、時代の変化にあわせてETロボコンも進化。現在は、走行タイムを競う「デベロッパー部門」と、企画したシステムを発表する「イノベーター部門」の2部門で実施されている(関連記事:ETロボコンに「動く難所」登場、プレゼン力も問われる大会に)。
デベロッパー部門の特徴を一言で述べると、それは「ソフトウェア重視」だ。プラットフォームとして、LEGOの「MINDSTORMS」で作った自律ロボット(ETロボコンでは“走行体”と呼ばれる)を採用しており、ハードウェアの仕様は同一。モーターを強化するようなことはできないため、レースの結果は完全にソフトウェア次第となる。
ただ、今回は例外的に2種類のハードウェアが混在した。2014年大会までは「MINDSTORMS NXT」を採用してきたが、新モデル「同 EV3」の発売により、旧モデルになってしまった。NXTは今後入手が難しくなることから、今回からEV3に切り替わることになったのだが、今までの参加者にも配慮し、今回のみNXTの利用も認められている。
これまでのノウハウが生かせるNXTにするのか、それともCPUやメモリなどの性能が大幅に向上したEV3にするのか。今回はハードウェアの選択も勝敗を左右するポイントの1つとなっている。
またデベロッパー部門は2014年大会より、「プライマリークラス」と「アドバンストクラス」の2クラス体制となった。プライマリークラスは初級者向けのクラスで、倒立2輪型の走行体を使う。2014年大会で新設されたアドバンストクラスはより上級者向けとなっており、3輪型の走行体を採用。この走行体は、ギヤ比を3種類から選択することも可能だ。
これはETロボコンの大きな特徴であるといえるが、単に競技をするだけではなく、UMLなどで記述されたシステムの分析・設計モデルの評価も行われる。優れたモデルのチームが必ずしも競技で上位に来るというわけではないものの、「速いだけじゃ駄目」というのは、いかにも教育型のロボコンらしいところだ。
そして、自ら企画して製品を生み出すエンジニアの育成を目指し、2013年大会から始まったのが「イノベーター部門」である。この部門ではテーマは特に決められておらず、各チームが自由に製品やサービスを考え、会場で発表する。企画の内容と当日のパフォーマンスをそれぞれ評価し、合計点で順位を競う。
さて、それでは今大会の競技内容について、具体的に見ていくことにしよう。
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