Rコースでの目玉は、初登場の難所「新幹線」だ。環状の線路を新幹線が走っており、衝突せずにそこを通過するのがクリア条件。ここで、無事に通過できれば30秒のボーナスタイムを得られるが、当たってしまえば逆に30秒のペナルティとなる。新幹線の検出には、走行体の前面にある超音波センサーを使用することができる。
今回、両コースの難所を完全制覇したチームは無し。それどころか制限時間内にゴールできたチームすら少なかったのだが、そんな中、仕様未確定エリアと新幹線の両方を唯一クリアした「NiASET」(長崎総合科学大学)が優勝。同チームのリザルトタイムは34.7秒と、2位に70秒以上の差を付けての圧勝だった。
ただ、確かに今回の競技の難易度は高かったものの、それ以前に、難所に辿り着けずにリタイアするチームが目立ったのは残念。特にRコースは、難所を1つも通らずにゴールすることが可能なレイアウトだったのに、ライントレースに失敗してコースアウトするチームが続出というのは、見ていてちょっと腑に落ちなかった。
与えられた課題を解決するだけではなく、これからは自分で課題を見つけ出す能力も必要、ということで2年前から始まったのがイノベーター部門。2014年大会までは、アーキテクト部門という名前だったが、新名称になり、狙いがより明確になったといえるだろう。
競技では、最初の3分間でシステムを設置しながらプレゼンテーションを実施。続く3分間でパフォーマンスを行い、終了後、1分間で撤収する。この全てが審査対象となるため、設置/撤収のしやすさまで考慮しておく必要がある。配点は、事前の企画審査と、当日の競技審査が200点ずつで、その合計点を競う。
デベロッパー部門と違い、イノベーター部門では指定された走行体は無い。自由にハードウェアとソフトウェアを開発することができる。2014年までは、走行体でコースを走り、ゴールしてからパフォーマンス開始というルールだったが、今回はデベロッパー部門の“名残”のようなものは無くなり、3分間フルにパフォーマンスするようになった。
ロボットの技術力の高さに注目したのが「FUJIWING」(富士機械製造)。テーマは「未来の工場」ということで、開発したのは雲梯のように天井を移動できるサル型の空中搬送ロボットだ。自社工場の現状から、デッドスペースとなっている天井の活用に注目し、考案したという。レール式に比べ、レイアウト変更に柔軟に対応できるメリットがある。
ブランコのように自ら振幅を大きくしていき、隣のバーをキャッチ。今までつかんでいたバーを離し、これを繰り返すことで、移動していく。うまく揺れを大きくするには、タイミング良く腕を動かす必要があるが、ジャイロセンサーだけで、このタイミングは計算しているそうだ。
パフォーマンスでは、一部、バーをキャッチできずにメンバーが手助けする場面もあったものの、おおむね成功。同チームの企画審査は5位だったが、競技審査でダントツ1位の高評価となり、見事逆転優勝を果たした。
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