ETロボコン実行委員会は2021年2月16日、組み込み開発エンジニアによるロボットのレース競技「ETロボコン2021」の競技説明会を開催した。新型コロナウイルス感染症の対策として、前回大会に引き続きオンラインで開催する。
ETロボコン実行委員会は2021年2月16日、組み込み開発エンジニアによるロボットのレース競技「ETロボコン2021」の競技説明会を開催した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策として、ETロボコン2020に引き続きオンラインでの大会開催となる。
ETロボコンは、組み込みシステム開発関連企業で構成される組込みシステム技術協会(JASA)が主催する大会。2002年に第1回大会を開催しており、ETロボコン2021は20回目の大会となる。
大会を通じて、企業あるいは教育機関に在籍する人材に、組み込み開発技術に関する教育機会を提供することを目標としている。エントリー(入門)、プライマリー(基礎)、アドバンスト(応用)とコースの難易度が異なる3クラスを用意しており、参加チームは技術レベルに応じて好きなクラスを選択できる。
ロボットの挙動や走行を制御するソフトウェア開発を通じて、プログラミングやモデリングといった技術スキルが習得できる。また、開発は複数人からなるチームで行うため、多人数での開発に必要なコミュニケーションスキルやマネジメントスキルなども併せて学べる。
参加募集の締め切りは2021年4月末。同年7〜8月にかけて試走会、同年9〜10月に地区ブロック大会、11月中旬にチャンピオンシップ大会を順次開催する予定。
地区ブロック大会は、今回から導入予定の大会形式だ。例えば北海道と東北、東京と北関東など複数地区を1つのブロックにまとめて、その中で該当地区の参加チームが競い合うことになる。レースの競技結果とモデリングの評価結果を合わせた総合結果に基づき、各ブロックで優秀な成績を修めた30〜40チームほどがチャンピオン大会に進出する(プライマリー、アドバンストクラスのみ)。
ETロボコン2021は前回大会(2020年)に引き続き、地区ブロック大会、チャンピオン大会共にオンライン開催となる。ETロボコン実行委員会が開発したシミュレーター(「ETロボコンシミュレータ2021」)内に、リアルのコースや走行体を再現。試走会や大会参加時には、参加チームは開発した走行体の制御ソフトウェアを(本番用の)シミュレーターにアップロードして実行する。このため、参加者はリアル会場で集合する必要がない。
ETロボコンシミュレータ2021はUnityをベースに構築されている。同シミュレーターは、制御ソフトウェアの開発環境(etrobo環境)と、走行体制御エミュレーターのAthrillと連携、同期して使用する。シミュレーターは2020年4月上旬に初回リリースを行い、専用Webサイトから各参加チームがダウンロードできるようにする。その後順次アップデートを重ね、最終版は同年7月下旬に公開する予定。4月から開発に取り組めるので、企業で参加する場合は新入社員の研修目的でも参加しやすいという。なお、シミュレーションの導入には60fps以上のグラフィック処理性能を持つPCが必要となる。
競技は大きく分けて、コース上に書かれた線に合わせて走行体を走らせる「ライントレース」と、参加クラスの難易度に応じた課題が設置された「難所攻略」の2パートで構成されている。今回の大会からライントレースにおいて、プライマリークラスはアドバンスト、エントリークラスとは異なる難易度のルートを走行することになった。また、アドバンストクラスでは、難所攻略において前回大会まで存在したガレージを廃止するなど変更が加えられている。
ETロボコン実行委員会 ETロボコン本部運営委員長の櫻井隆氏は、前回大会から始まったオンライン開催の取り組みを振り返り、「人材教育の新たな形を模索できたと思う。時間や場所に大きな制約を受けることなく、教育の機会を提供できるようになった。実機ではなくシミュレーションでのみの開催とすることで、従来、多くの手間がかかっていたロジック検証の工数や、開発における手戻り発生率を低減できたという声も届いている。新たな体験価値を生み出せているのではないか」と語った。
また、櫻井氏は今後のETロボコンの見通しとして「COVID-19の感染状況を伺いつつではあるが、2022年はリアル会場での大会開催を予定している」と語った。ただし、従来走行体として活用していたレゴの「Mindstorms EV3」が2020年7月に生産を終了したため、「エデュケーション SPIKE」に代替する予定。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.