令和のETロボコンはベストタイム方式、「リミッター外し」で一発逆転も〜ETロボコン2019チャンピオンシップ大会〜ETロボコン2019(1/4 ページ)

令和初となる2019年のETロボコンは、デベロッパー部門の競技成績が合計タイム方式からベストタイム方式に変更された。18回目の開催で大転換を図った今回のレース結果はいかに。3回目となるガレッジニア部門と併せて、各チームの奮戦を動画とともに紹介する。

» 2020年01月21日 10時00分 公開
[大塚実MONOist]

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 「ETソフトウェアデザインロボットコンテスト(ETロボコン)2019」が2019年11月20日〜21日、パシフィコ横浜で開催された。ETロボコンは、組み込み分野における人材育成を目的とした競技会である。18回目の開催となる今回は、地区大会に259チームが出場。勝ち上がった39チームがこの日のチャンピオンシップ大会に集まり、熱戦を繰り広げた。

自律ロボットがブロックを運んでビンゴに挑戦 自律ロボットがブロックを運んでビンゴに挑戦(クリックで拡大)

18年目の大転換

 ETロボコンは、2部門3クラス制で開催されている。2つの部門はかなり毛色が違うため、新しい「ガレッジニア部門」については後で触れることにして、ここではまず、“本流”といえる「デベロッパー部門」について、先に見ていくことにしたい。

 デベロッパー部門には、初級者向けの「プライマリークラス」と、難易度の高い「アドバンストクラス」がある。それぞれ使用するロボット(ETロボコンでは“走行体”と呼ぶ)は異なるのだが、両クラスで共通するのは、ハードウェアの仕様が完全に決められていることだ。機体の性能に違いはなく、勝負はソフトウェア次第ということになる。

プライマリークラスの走行体は2輪倒立振子の「EV3way-ET」 プライマリークラスの走行体は2輪倒立振子の「EV3way-ET」(クリックで拡大)
アドバンストクラスの走行体は3輪型の「HackEV」だ アドバンストクラスの走行体は3輪型の「HackEV」だ(クリックで拡大)

 そしてもう1つの大きな特徴は、ソフトウェアの設計図といえる「モデル」を重視していることだ。特にアドバンストクラスにおいては、競技の結果だけでなく、モデルの評価も加えて総合順位を決定。走行が速いだけでも、モデルが良いだけでもダメで、どちらも頑張らなければ優勝は狙えない。

会場の壁には各チームのモデルの説明が貼られていて参考になる 会場の壁には各チームのモデルの説明が貼られていて参考になる(クリックで拡大)

 そのあたりについては前回までと同じなのだが、今回、大きく変わったのは、競技の順位を決めるルールである。ETロボコンは、Lコース/Rコースという2種類のコースを1回ずつ走行し、タイムを競う。従来は、2コースの合計タイムで順位を付けていたのに対し、今回はベストタイム方式になったのだ。

 これまでの合計タイム方式だと、1回目の走行で失敗したら、その時点でもう上位入賞は諦めるしかなかった。しかしベストタイム方式だと、結果は最後まで分からない。どんでん返しもあるだろう。1回目は手堅くいって、2回目は失敗覚悟のチャレンジに挑むなど、勝つための戦略も変わってくる。

 これに伴い、両コースは左右対称の形に変更された。アドバンストクラスは近年、競技にAI(人工知能)を導入するなど難易度が増しており、2種類のコースに対応するのは、参加者の負担がかなり大きくなっていた。今回はL/Rがほぼ同じであるため、実質1コース分の準備でよくなり、負担は大幅に軽減されている。

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