ガレッジニア部門は、新しい価値を生み出せるエンジニアの育成を目指し、2017年に新設された部門である。デベロッパー部門と違い、使用するロボットは自由。センサーとアクチュエータを使い、ソフトウェアで制御するものであれば、どんなものでも構わない。テーマも決められておらず、とにかく自由な部門である。
求められるのは、「新しい」「ワクワクする」もの。ただ、あまりにも自由過ぎて、どうしたらよいか分かりにくいのも事実だ。出場チーム数の低迷が大きな課題となっており、今回も、全国で6チームしかエントリーしていなかった。
出場チーム数を増やしていくため、今回、初めて会場を変更した。前回までは、デベロッパー部門と同じく、パシフィコ横浜の会議センターで行っていたのだが、今回は隣接する展示ホール側で実施し、開催日も翌日に分けた。
狙いは、より多くの人に知ってもらうことだ。会議センターだと、基本的にETロボコンの関係者くらいしか見に来ない。しかし展示ホールであれば、組み込みとIoT技術の展示会「ET&IoT Technology 2019」が開催されており、カンファレンスやブース展示を見に来た一般の技術者の目に触れやすい。その中から、新規参入も期待できるだろう。
今回のチャンピオンシップ大会には、事前に行ったビデオ審査の結果、優秀だった3チームが選抜され、出場した。
優勝は、野球盤のゲームを改造し、実際のボールとバットで操作できるようにした「FCTガレッジニア」(富士通コンピュータテクノロジーズ)。近年は、球技禁止の公園が増えたり、猛暑で熱中症が心配だったりして、屋外で野球がやりにくい。これは、子供と一緒に、屋内で野球を楽しむために開発したという。
わずかな差で惜しくも2位になったのは「Clarith」(第一工業大学 情報電子システム工学部 中茂研究室)。同チームは、掃除ロボットを操縦できるARスマホアプリを開発。子供がゲーム感覚で楽しみながら、家庭内の手伝いができるようになっている。将来的には視線入力にも対応させ、身体の不自由な方が遠隔操作できるようにすることも検討中とのことだ。
両チームともアイデアはユニークで面白かったものの、モノが小さくて見えにいなど、「見せ方」にはもう少し工夫がほしかったところ。
ETロボコン実行委員長の星光行氏も、総評で「もっとプレゼンを上手にやろう」と苦言を呈し、「どんなに良いアイデアがあっても、人に伝える力がなかったらダメ」と、次回の奮起を促していた。
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