2016年のETロボコンは、デベロッパー部門のアドバンストクラスが、競技課題、採点方法、走行体の全てを一新。カラーセンサーによる色認識で、ゲーム課題をクリアしなければならなくなった。このアドバンストクラスを中心に、各チームの奮戦を、動画とともに紹介する。
世界をリードするエンジニアの育成を目的としたロボット競技会「ETソフトウェアデザインロボットコンテスト2016(ETロボコン2016)」の全国大会(チャンピオンシップ大会)が2016年11月16日、パシフィコ横浜で開催された。今回はコース上にゲームが登場、制御技術に加えて、高い戦略性も求められる競技となった。
ETロボコンの開催は今回で15回目。前回の2015年と同様、デベロッパー部門(プライマリークラス/アドバンストクラス)とイノベーター部門という2部門3クラス制で実施されており、2016年の全国大会には、地区大会を勝ち抜いた計40チームが集結した。まずは、デベロッパー部門の内容から紹介していこう。
ETロボコンは、LEGO(レゴ)の「MINDSTORMS(マインドストーム)」を使った競技会である。MINDSTORMSは本来、ブロックを組み合わせて自由にロボットを組み立てられるプラットフォームだが、ETロボコンではハードウェア構成を指定。各チームで共通のロボット(ETロボコンでは“走行体”と呼ばれる)を使うため、ソフトウェア技術の違いが勝敗を分けるポイントになる。
デベロッパー部門には、プライマリークラスとアドバンストクラスの2つのクラスがある。初級者向けのプライマリークラスは、2015年と同様の内容であったが、今回の2016年から大きく変わったのはアドバンストクラスだ。なにせ、競技課題、採点方法、走行体の全てが新しくなっているのだ。
コースはL/Rの2種類が用意されており、参加者は両コースを1回ずつ走行して、その合計点で順位を競う。大会では進行上、2チームがL/Rコースに分かれて同時にスタートするが、各コースは完全に分離していて、お互いの競技に影響を与えることは無い。同時に競技しているものの、対戦形式では無いわけだ。
2016年の注目は、両コースに設けられたゲーム課題だ。どちらもカラーセンサーの情報を使い、色を認識させる競技になっている。
Rコースの「ブロック並べ」は、4×4の格子上に置かれた4色のブロックを、そのブロックと同色のエリアまで運べばポイントになるというもの。事前に、ブロックの配置場所と、緑ブロックの位置は公開されているが、残りの3ブロックの色は競技開始前にランダムに決定される。なお、必ず含まれる黒ブロックは動かしてはいけないルールだ。
Lコースの「ET相撲Neo」は、まず自分の“部屋”の色を調べてから、同部屋以外の力士(ブロック)を土俵の外に押し出すというもの。こちらはブロックの配置場所が事前に分かっており、部屋の色だけが直前に決まるという方式だ。なお、なぜか土俵の周りを新幹線が走っているので、衝突しないように通る必要がある。
走行体は新型の「HackEV」が導入された。HackEVは左右の両輪で走行するロボットで、アームと尻尾を動かす機能もある。センサーとしては、超音波センサーやカラーセンサーが利用可能。カラーセンサーはアームに取り付けられており、ライントレース時は地面に、ブロックを見るときは前方に向けることができる。
そして採点方法だが、従来のタイム制から、ポイント制に変更された。走行(下図の黄枠)とゲーム(同赤枠)でそれぞれクリア時間を計測し、ある数式によってポイントに換算。さらに、ゲーム中で動かせたブロックの個数に応じて得られるボーナスポイントを加算する方式だ。従来よりもちょっとややこしいが、より正確な評価が可能になるという。
新方式で得られるポイントの配分は以下の通り。ただし、走行タイムとゲームタイムのポイントは、事務局が設定した想定時間でクリアしたときの得点であって、想定以上の短時間でクリアしたときは、満点以上の得点が得られる。ボーナスを全てゲットした上で、どれだけタイムを短縮できるかが優勝へのカギとなる。
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