アドバンテックは東京都内でユーザー向けイベント「Edge.AI Day Japan 2025」を開催し、エッジAIにフォーカスする方針を表明した。
アドバンテックは2025年7月11日、東京都内でユーザー向けイベント「Edge.AI Day Japan 2025」を開催した。
冒頭のキーノートスピーチに登壇したアドバンテック日本法人 代表取締役社長の吉永和良氏は「アドバンテックはグローバルでエッジAI(人工知能)にフォーカスする方針を定めて、この1年間をかけて準備を進めてきた。今後はIPC(産業用PC)の会社からエッジAIの会社に変貌する」と語る。
エッジAIがけん引するエッジコンピューティング市場は、グローバルで年平均24%成長しており2034年には5000億米ドル(約73兆6600億円)まで拡大する見込みだ。日本でも年率13%で成長し2034年には5兆円の市場規模に達するという。「日本の企業のAI活用率は46.8%で、米国やドイツよりも低い。このままでは失われた20年、30年がさらに長引く可能性がある。日本の産業界は積極的にAIを取り入れて変わっていかなければならない」(吉永氏)。
1983年創業のアドバンテックは世界シェア42%のIPCをはじめ、組み込みコンピュータやサーバ製品などを強みとしてきた。今後は、2000以上のラインアップを誇るこれらのハードウェア製品に加えて、エッジAIを実現していくための産業用ソフトウェアエッジオーケストレーションプラットフォーム「WISE-Edge」の展開を強化していく。
アドバンテックはグローバルで2600人以上のエンジニアがいるが、ソフトウェアエンジニアは約300人にとどまる。今後人員を拡充していくが、WISE-Edgeの展開拡大に向けてパートナーとの共創を強化していく。その端緒として2025年5月、フランスのデジタル製品技術コンサルティング企業であるナガロ(Nagarro)との提携を発表した。日本でもWISE-Edgeの共創活動に注力していく構えだ。
日本国内の事業展開で注目すべきは、直方事業所(福岡県直方市)の拡張計画だろう。2019年にオムロンから買収した同事業所はこれまで日本の顧客向けの受託生産を中心に事業を展開してきた。吉永氏は「今後は台湾、中国に次ぐ第3の製造拠点として製品を量産することを決めた。グローバルの知見を日本に反映するとともに、日本からグローバルに製品を供給できるようにする。メイドインジャパンで日本の顧客にも製品を届ける」と説明する。
現在、約50億円を投資して直方事業所の新棟建設に着工したところだ。完成は2027年の予定で生産能力は倍増することになる。「Japan AI×IoTキャンパス」として、エッジAIの共創や体感、そして人材育成の場にしていく方針である。
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