新型コロナで大きな影響を受けたロボットバトル、リモートでやれんのか!俺的ROBO-ONEオンラインバトル解説(1/3 ページ)

新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受けたロボット競技会。「ROBO-ONE」もオンライン開催となり、ロボット同士が直接戦うという競技内容ではなくなった。そこで、ROBO-ONE Lightの公認機をリモート操縦で戦い合わせるためのシステムを独自に構築してみた。俺的ROBO-ONEオンラインバトル、リモートでどれだけやれんのか!

» 2020年10月26日 10時00分 公開
[大塚実MONOist]

 2020年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に振り回された1年だった。筆者が毎年取材しているロボット競技会も軒並み影響を受け、4月以降、開催中止やオンライン開催への変更が相次いでいる。2月開催だった「ROBO-ONE」は通常通り実施されたが、どうやら今年はこれ以外、一度もリアル取材することなく終わりそうである。

2020年2月のROBO-ONE Lightには、筆者はROBOTISの新型ロボット「Engineer Kit MAX-E1」で出場 ちなみに2020年2月のROBO-ONE Lightには、筆者はROBOTISの新型ロボット「Engineer Kit MAX-E1」で出場していた(クリックで拡大)

 なお、2020年の主要なロボット競技会の開催状況は以下の通りである。

  • NHK学生ロボコン→中止
  • World Robot Summit→2021年に延期
  • ROBO-ONE→オンライン開催
  • ETロボコン→オンライン開催
  • ロボカップ→オンライン開催
  • 全日本ロボット相撲→中止
  • WRO→中止

 ロボット競技会は基本的に、大勢の参加者が室内に集まることになるので、特に影響を受けやすい。換気のよい会場で、マスク着用やアルコール消毒などの対策を徹底した上で、さらに無観客であれば開催しても問題ないような気もする。しかし、学生などは地方からの移動に制約がある場合もあり、全国規模で大々的に開催するのはなかなか難しい。

 今後、効果的なワクチンが登場して感染が終息し、元通りの社会になるのか、それともwithコロナの時代が続くのか、現時点ではなんとも言えない。今回は緊急避難的に開催中止、オンライン開催とした大会も、2021年以降はどうすべきか、主催者側も頭を悩ませているところだろう。しばらくは試行錯誤が続くかもしれない。

初のオンライン開催となったROBO-ONE

 2020年9月19〜21日の3日間、ROBO-ONEの4部門がオンラインで開催された。大会の様子は、以下のWebサイトでアーカイブが公開されているので、興味がある人はぜひご覧いただきたい。

 ROBO-ONEはバトル競技なので、どうしても「対戦」がベースになる。ただ、今回は物理的に集まるのが難しいということで、形式を大幅に変更。出場者側が自分でペットボトルを加工した“ダミーロボット”を用意し、自宅などで競技を行い、その映像を中継する方式になった。

 決勝トーナメントでの勝敗は、得点で決める。パンチなどの通常攻撃でダミーロボットを倒すと1点。前転キックなどの大技だと2点。さらにバックドロップなどの派手な大技なら3点、という具合だ。3ラウンド制なので、全て3点の大技でそろえれば9点となるが、同じ大技は使えないので複数の種類を用意する必要がある。

 いつものROBO-ONEなら、相手を確実に倒せる堅実な技が中心となるため、バックドロップのように「相手が棒立ちになっていないと決まらない」ような技は、まず見ることがない。それに対し、今回の大会は大技の披露会のようになっており、「うっちゃり」(自称)まで登場。ロボットバトルのさらなる可能性が感じられたのはよかった。

ROBO-ONE Light優勝機の「旋風丸二代目」(DrGIY)。今回の形式だと、多彩な大技を持つロボットが有利といえる(クリックで再生)

 また、アジアからは香港や台湾、遠くは米国やチリからの参加もあった。もともとROBO-ONEにはこれらの国から毎回のように出場者が来日していたのだが、費用的、時間的な負担を気にしなくていいオンライン大会には、海外からの出場者が増える効果も期待できる。これをきっかけに、新たな国からの参加があれば面白い。

 大学4年生や高校3年生の出場者にとっては、在学中の最後の大会だったかもしれない。初のオンライン開催ということで、いろいろ不手際はあったものの、まずは開催にこぎ着け、機会を提供できたことを評価したい。ROBO-ONEが通常通り開催できるようになった後も、これはこれでオンライン部門も継続すればいいのではないかと思う。

常連の飛騨神岡高校ロボット部 常連の飛騨神岡高校ロボット部は学校から参加。部長の倉家悠里さんがベスト8と健闘した(クリックで拡大) 出典:飛騨神岡高校

 しかしその一方で、観戦していて「やはりロボット同士のバトルが見たい」と思ってしまったのも事実だ。ピクリとも動かないダミーロボット相手では、あの手に汗握る駆け引きや、一瞬で勝負が決まる緊張感は味わえない。前述のように、いろんな大技が見られるよさはあったものの、“バトル”として見ればどうしても消化不良の印象だ。

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