2021年のETロボコンは、前回に引き続き。シミュレーターを活用した完全オンライン開催となった。20回目の節目を迎えたETロボコンだが、2回目となったオンライン開催では何が変わったのだろうか。
「ETソフトウェアデザインロボットコンテスト(ETロボコン)」のチャンピオンシップ大会(全国大会)が2021年11月21日、オンラインで開催された。コロナ禍により2年連続でのオンライン開催となったものの、地区予選には196チームが参加。そこから選抜された39チームにより、ハイレベルな熱戦が繰り広げられた。
ETロボコンは、組み込み分野のエンジニア育成を目的とし、開催されているロボット競技会である。最大の特徴は、ソフトウェア重視の大会であることだ。競技で使うロボット(走行体)の仕様は共通になっており、工夫の余地はない。ソフトウェアの優劣によってのみ、勝負が決まるというわけだ。
もう1つの大きな特徴は、ソフトウェアの“設計図”といえるモデルを重視していること。競技だけなら、たまたまうまくいって勝ってしまうこともあり得るが、ETロボコンは、競技結果とモデル審査の両方により、総合順位が決まる。競技だけ良くても優勝するのは難しく、むしろモデル審査で逆転されることの方が多い。
ETロボコンは、今回が20周年だった。2002年に、前身の「UMLロボットコンテスト」としてスタート。2005年から、現在のETロボコンという名称になった。参加者のレベルの違いが大きくなってきたことから、2014年には2クラス制を導入。2020年には、シミュレーターによるオンライン開催になるなど、時代に合わせて姿を変えてきた。
そして今大会は、前年に続き、2回目のオンライン競技となった。コースと走行体は、シミュレーター上にそっくり再現。走行体はセンサーの挙動なども模擬されており、実機と同じプログラムで動かすことが可能だ。これなら、シミュレーターと実機の両方をうまく活用した開発にも移行しやすい。
競技は前回から3クラス制。入門者向けのエントリークラス、技術の基礎を学ぶプライマリークラス、技術を応用するアドバンストクラスがあり、自分のレベルに合ったクラスを選ぶことが可能だ。チャンピオンシップ大会では、このうちプライマリークラスとアドバンストクラスのみが行われた。
競技の順位はタイムで決まる。コースは前半と後半に分かれており、まず前半はライントレースによりゴールを目指して走行。そして後半には、クラスごとに課題が用意されており、それをクリアすることで、ボーナスタイムを獲得できる。走行タイムからボーナスタイムを引いたものが、リザルトタイムとなる。
両クラスとも、パーフェクト時のボーナスタイムは30秒。優勝するためには、パーフェクトを達成しつつ、前半でいかに早くゴールできるかがカギになる。ラインを外してコースをショートカットすれば、大幅にタイムを削ることができるのだが、失敗するリスクもあるため、そのあたりの戦略が競技の見どころの1つである。
走行は、LコースとRコースで2回実施し、良かった方の結果を採用する。コースは基本的には左右対称で同じ内容なのだが、コース脇の障害物の配置が異なっていて、ショートカットの戦略に影響を与える。ベストスコア方式なので、大幅にカットできる方でチャレンジし、もう一方では安定性を重視する戦略もアリだ。
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