宇宙スタートアップのアクセルスペースホールディングスが東京証券取引所グロース市場に上場した。1株当たりの公募価格375円に対して751円の初値が付き、取引終了時は674円となった。時価総額は431億7000万円である。
宇宙スタートアップのアクセルスペースホールディングスは2025年8月13日、東京証券取引所グロース市場に上場したと発表した。1株当たりの公募価格375円に対して751円の初値が付き、高値788円、安値653円で推移した後、取引終了時は674円となり、時価総額は431億7000万円となった。初日の出来高は3536万360株、売買代金は256億9261万3000円を記録した。
同社は同日午後の取引終了後に東京証券取引所内で会見を行った。代表取締役CEOの中村友哉氏は公募額の約2倍となった初値などに対して「高い評価が得られてうれしい。上場することで社内のモチベーションも上がり、世界から優秀な人材を獲得することもできる。今後も市場からさらに高い評価が得られるようにしていく」と語る。また、取締役CFOの折原(正確な漢字は原の日の上の点がない)大吾氏は、上場によって調達した資金について「今回の上場で中期的な活動資金を十分確保することができた」と述べる。
アクセルスペースホールディングスは、2008年8月創業のアクセルスペースの純粋持ち株会社として2020年3月に設立された。小型衛星の開発や製造、衛星画像サービスなどの事業はアクセルスペースが現在も担っている。
アクセルスペースは、2013年にウェザーニュース向けの衛星「WINSAT-1」を受託して以降、2019年のJAXA(宇宙航空研究開発機構)向けの「RAPIS-1」を含めて現在までに11機の小型衛星を設計製造、運用した実績を持つ。現在は、この小型衛星開発/製造の技術を核に、顧客向け小型衛星プロジェクトの開発/製造/打ち上げ/運用を行う「AxelLiner」と、自社運用衛星で撮影した画像データの販売および画像データを使ったサービスを提供する「AxelGlobe」の2つの事業を展開している。中村氏は「これら2つの事業を手掛ける宇宙企業は世界的に見てもユニークだ」と強調する。
今回の上場に合わせてアクセルスペースホールディングスは直近の業績を発表した。2025年5月期は売上高15億8600万円、営業損失24億9500万円、経常損失18億2400万円、親会社株主に帰属する当期純損失は19億5000万円となっている。なお、JAXAなど政府プロジェクト案件による収入は補助金として別計上しており、売上高に補助金を加えた総収入は23億2200万円だった。
セグメント別の売上高を見ると、AxelLiner事業が13億2600万円、AxelGlobe事業が2億6000万でありAxelLiner事業の比重が大きい。ただし、AxelLiner事業が国内政府系プロジェクトからの受注がほぼ100%を占めており、今後に向けては民間企業からの受注獲得が課題になっている。一方、AxelGlobe事業は既に売上高の半分が民間企業向けであり、海外向けが3分の1を占めるなど国内政府系プロジェクトに依存しない顧客構成となっている。
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