自動化支援の面で大きな効果を生み出しているのが、作品名「からくりインバータ」である。
これはLEDベースライトの生産ラインで使われているものだ。従来は自動生産設備に対し、カバー部品の供給を人手で設備のタイミング(約3秒に1回)に合わせて投入していた。しかし、連続供給の途絶えや投入するカバー部品の台車交換作業によるロスなどが発生しており、月間で8.5時間程度のロスが生まれていたという。
これを「からくり改善」装置を使うことで最大8本分を自動供給できるようにし、最大約30秒間の余裕を作業者に与えることで、供給漏れや台車交換ロスなどを抑えられるようにした。ポイントはカバーを供給するベルトコンベヤーの動力を使い、カバーの送りを実現する一方で、後が崩れないようにバランスを取るための2カ所のストッパー機能を活用しているという点だ。
「ロボットによる自動供給などを考えがちな場面だがロボットを導入すると1000万円単位のコストがかかる。今回の装置は12万円で実現できた。ただ、これだけでも年間で102時間、1988万円のロス改善を実現できている」と徳吉氏は語る。
この他にもパナソニック エレクトリックワークス社 新潟工場では「からくり改善」装置を導入しており、トータルで7種類10台を活用している。また、新潟工場のからくり改善分科会が主導し他の工場で使用する「からくり改善」装置の開発なども行っており、今後もさらに拡大を進めていく方針だ。
ここまで見てきたようにこれら1つ1つの「からくり改善」装置で得られる改善効果は工場全体に大きな影響を及ぼすほどのものではないかもしれないが、積み上げていくことで大きな価値を生んでいる。また、現場の小さな困りごとを現場主導で解決し、そして直接的に負荷軽減につながるという意味では大きな意味を持つ。
徳吉氏は「作った『からくり改善』装置は導入後3年以上がたつものもあるがほとんど壊れていない。大規模な仕組みや設備がなければできない自動化ではなく、軽い現場発のやり方でも半自動化できるやり方があれば選択肢は大きく広がる。現場からの反応も良く、改善の内容が次々に挙がってきているので、それに応えていく」と今後の取り組みについて語っている。
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