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» 2021年10月28日 07時00分 公開

パナソニック新潟工場の現場を変えた、たった4人の「からくり改善」【前編】メイドインジャパンの現場力(31)(1/2 ページ)

たった4人で始めた同好会からスタートし、「からくり改善」により次々に成果を生み出しつつあるのが、パナソニック エレクトリックワークス社 新潟工場である。同社の「からくり改善」を活用した現場改善への取り組みを紹介する。

[三島一孝,MONOist]

 脱炭素や環境問題への関心が高まる中、重力や既にある動力を生かした機械的仕組みによりローコストで製造現場の改善を進める「からくり改善」に注目が集まっている。「からくり改善」は自動車業界が積極的に取り組みを進める一方で、電機メーカーでは熱心に取り組んでいるところはそれほど多くなかった。そうした中で、たった4人で始めた同好会からスタートし、「からくり改善」により次々に成果を生み出しつつあるのが、パナソニック エレクトリックワークス社 新潟工場である。同工場における「からくり改善」を活用した現場改善への取り組みを紹介する。

(※)「からくり改善」は日本プラントメンテナンス協会の登録商標です。

 前編では「からくり改善」に取り組むようになった経緯と、ここまでの苦労や今後の方向性について、後編では実際に導入された「からくり改善」装置とその効果についてお伝えする。

photo パナソニック エレクトリックワークス社 新潟工場で実際に活用されている「からくり改善」の装置[クリックで拡大]

たった4人の同好会から始まった「からくり改善」

 パナソニック エレクトリックワークス社 新潟工場で「からくり改善」に取り組むきっかけとなったのが2014年の「からくり改善くふう展」(日本プラントメンテナンス協会主催)である。

 当時から関わり、現在はからくり改善の分科会を主導するパナソニック エレクトリックワークス社 ライティング事業部 ものづくり革新センター 生産技術開発部 工法開発科の徳吉潤成氏は「たまたま当時同じ部署にいた4人で見学する機会があり感銘を受け『自分たちでもできるのではないか』と考えた」と当時を振り返る。ただその後、徳吉氏が異動となり、活動が本格化するのは、再度徳吉氏が生産技術関連の部署に戻ってきた2017年からだった。

 「最初は『職長の困りごと』を聞いてそれを解決するために取り組んだところが始まりだった。それがまさに『からくり改善』だったことから、有志4人で『同好会』として活動を開始した」(徳吉氏)

photo 同好会発足時から参加する4人のメンバー。左から徳吉氏、黒澤真一朗氏、梨本賢一氏、田邉英明氏[クリックで拡大]

 しかし、活動当初は「苦しい状況が続いた」と徳吉氏は語る。実は、パナソニック エレクトリックワークス社 新潟工場は、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ロボットなどの先進技術を積極的に取り入れて自動化を推進する先進工場である。パナソニック内でスマートファクトリー化のモデル工場の1つにもなっている。これらのさまざまな新しい技術を用いた取り組みが実際に現場で行われている中「どうしても『からくり改善』がローテクに見られてしまう状況があった。実際に『古い』や『今さら役に立つのか』という声を聞いたこともある。ただ、同好会のメンバーはみんな製造現場を経験したメンバーだったため、『からくり改善』でできることがあると感じていた」と徳吉氏は当時の状況について語る。

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