三菱電機は2025年4月13日に開幕する「2025年大阪・関西万博」において、同社のFA技術を活用した「IoTグリーンシェード」を展示する。
三菱電機は2025年4月13日に開幕する「2025年大阪・関西万博」において、同社のFA技術を活用した「IoTグリーンシェード」を展示する。FA機器と植物の新たな組み合わせで、これまでにない価値提供を目指す。
IoTグリーンシェードは、三菱電機が2019年に開催した三菱電機アクセラレーションプログラムで鈴田峠農園により提案された環境ソリューションだ。具体的には、パッションフルーツの特性を生かした植物シェードとミストを組み合わせて、気化熱冷却効果(打ち水効果)によってシェード内を涼しく快適にする。
IoTグリーンシェードを開発したオープンイノベーション推進部は、2018年に設立された部署で、名古屋製作所と産業メカトロニクス製作所の各事業部門から選ばれたメンバーが、スタートアップ企業などと連携しながら、FA分野の新規事業の創出に取り組んでいる。
パッションフルーツは病害虫が少ないことで知られ、無農薬でも比較的育てやすい。繁茂状況がよく、シェードではほぼ枝葉のない状態から、3~4カ月でシェードを覆うまでに成長するという。日本でも年2回収穫でき、高級果物として扱われている。
三菱電機側が、植物の灌水やミストの自動制御、シェードの遠隔監視、来訪者の人物特性把握などを担っている。鈴田峠農園側は、パッションフルーツの植栽の提供や誘引、受粉、追肥などの植物管理を行っている。狙いは都市のヒートアイランド現象の緩和やパッションフルーツによるCO2の吸収の他、パッションフルーツの枝葉をアップサイクルしてセルロースナノファイバーを生成することも可能だ。
シェードの基本的な構成は次の通りだ。シェードの天井には、気化熱冷却をするためのミストノズルが8個、パッションフルーツの成熟状態や滞在人数などを検知するAI(人工知能)カメラが6個、気温などを測る気象センサーが2個搭載されている。4鉢のパッションフルーツの土壌には、土壌センサーを設置しており、土壌中の水分率や電気伝導率(EC値)を収集する。
三菱電機のシーケンサー「MELSEC iQ-Fシリーズ」の「FX5U-32MR/DS-TS」およびイーサネット対応ユニット「FX5-ENET」、表示器「GT2507T-WTSD」を導入しており、センサーを通して得た土壌のデータや、雨量、温湿度、気圧などの天候データなどを元に、水路のバルブをコントロールして、自動で潅水やミストの噴射を行う。実の成熟度やシェード内の滞在人数や性別、年代、土壌や気候データは、ダッシュボードを介して遠隔で確認できるようになっている。
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