ルノー日産三菱が機能統合を加速「一体運用での成長を証明する」製造マネジメントニュース

ルノー・日産自動車・三菱自動車アライアンス(ルノー日産三菱)は、アライアンスの機能統合を加速する複数のプロジェクトを始めると発表した。新中期計画「アライアンス2022」の達成に向けた具体的な施策となる。

» 2018年03月02日 06時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
ルノー・日産自動車・三菱自動車アライアンスの新ロゴ ルノー・日産自動車・三菱自動車アライアンスの新ロゴ 出典:ルノー日産三菱

 ルノー・日産自動車・三菱自動車アライアンス(ルノー日産三菱)は2018年3月1日(現地時間)、アライアンスの機能統合を加速する複数のプロジェクトを始めると発表した。

 ルノーと日産のアライアンスに三菱自動車が加わったルノー日産三菱は2017年9月、新中期計画「アライアンス2022」を発表している(関連記事:ルノー日産三菱が2022年に1400万台の販売目指す、600km走るEVや完全自動運転車も)。アライアンス2022では、アライアンスによる年間のシナジー効果を2016年の50億ユーロから100億ユーロ以上に増やすとともに、アライアンス全体のグローバル総販売台数を2017年の1060万台から1400万台に伸ばすことを計画している。

 アライアンス2022では、メンバー各社がプラットフォームの共用化を進め、2020年までに4つの共通プラットフォームを使って年間900万台の生産を行う予定である。なお、2016年実績は2つのプラットフォームで200万台の生産だった。計画期間中には、共通パワートレインの総販売台数に占める割合を、2016年の3分の1から4分の3にまで拡大するとしている。

 プラットフォームやパワートレインだけでなく、新技術とモビリティサービスの機能統合も進める。ルノー日産三菱では、2022年までに12車種のゼロエミッションの新型車を発売する計画だが、複数の車両セグメントで電気自動車の新規プラットフォームと構成部品を共用することになる。自動運転技術についても、さまざまなレベルに対応した自動運転機能を搭載する40車種を発売する計画。最終的には、完全自動運転による無人運転車の配車サービスなど、新たなモビリティサービスを提供することになるとしている。

品質・TCSとアフターセールスも機能統合、事業開発部門を新設

 今回発表したプロジェクトは大まかに分けて3つあり、アライアンス2022の達成に向けた具体的な施策となる。1つ目は、ルノー日産時代から進めてきた、研究・開発、生産・物流、購買の機能統合の深化である。2つ目は、新たな取り組みとなる、品質・TCS(トータルカスタマーサティスファクション)、アフターセールスの機能統合になる。そして3つ目は、新たに設立する事業開発機能によるアライアンス組織のさらなる強化だ。

 研究・開発担当アライアンス副社長の山口豪氏は、これまで4年間にわたって、アライアンスの共通技術・プラットフォーム、パワートレインの開発を進めてきた。今後は、アライアンス2022の実行を徹底するために、1人のリーダーのもとで、製品開発を中心に全ての開発業務を含むより大規模な協力体制の構築を検討する。新体制では、1人のアライアンス役員の指揮のもとで、それぞれの車両セグメントにおける各社の製品開発を行うことになるという。

 生産・物流担当アライアンス副社長のジョン・マーティン氏は、生産・物流の機能統合プロジェクトを指揮する。マーティン氏は、納入と効率性の改善、アライアンスが有する資産の最大活用、そして各社の設備投資と生産体制の最適化を通じてシナジーの極大化を図る。

 購買担当アライアンス副社長のヴェロニク・サラデポ氏は、三菱自動車の機能統合を中心に取り組むことになる。ルノー日産のアライアンス結成の当初から17年間にわたって購買の機能統合が進められてきたが、その活動をベースに、購買分野におけるシナジーの創出、研究開発、生産、その他機能の取り組みの活用を進め、拡大する規模のメリットを、メンバー各社とサプライヤーが享受できるようサポートする。

 新たなプロジェクトとなる品質・TCS部門の機能統合を担当するアライアンス副社長にはクリスチャン・ ヴァンデンヘンデ氏が就任する。共通の品質戦略の策定に加え、アライアンス開発機能が手掛けるプロジェクトの品質保証プロセスの標準化を提案することになる。

 アフターセールス部門の機能統合はアライアンスSVPのケント・オハラ氏が統括する。アライアンス2022では、パートナー各社はカーライフ商品、部品、開発、購買およびコネクテッドサービスなど、アフターセールスの領域でシナジーの増大と協力体制の強化を目指している。機能統合により、共通のデータ管理システムの採用、CRM(顧客関係管理)のベストプラクティス活用、部品物流、在庫、購買の分野におけるスケールメリットを見込む。

 新設の事業開発部門はアライアンスSVPのハディ・ザブリット氏が統括する。Aセグメント向けのコモンモジュールファミリープラットフォームである「CMF-A」の開発、他自動車メーカーとの提携、アライアンスのコネクテッドモビリティサービス、新技術企画ならびに商品企画の同期化、アライアンス・ベンチャーズなど、将来に向けた取り組みと革新的なブレークスルーの実現に加え、情報管理、デジタル化および顧客経験価値に関わる機能統合の可能性の検討に集中的に取り組むという。

 なお、三菱自動車は、2018年4月から購買、品質・TCS、事業開発のプロジェクトに参画する。研究・開発、生産・物流やアフターセールスの分野でも段階的に連携を進め、2019年度から本格的に機能統合に加わる予定だ。

 ルノー日産三菱の会長兼CEOを務めるカルロス・ゴーン氏は「各プロジェクトにより、重点部門の機能統合を強化、加速化することで、各社の成長と収益性は持続的に向上すると信じている。アライアンス2022で、3社もしくは3社を超えて、ますます一体となった運用を行い、成長できることを証明する」と述べている。

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