東北大学は、画像下治療を行う放射線医療従事者の眼の水晶体被ばくの実態を明らかにした。新型の水晶体用線量計「DOSIRIS」を用いて水晶体被ばくを正確に測定評価し、軽量型放射線防護メガネの防護効果も検証した。
東北大学は2017年4月26日、画像下治療(IVR)を行う放射線医療従事者の眼の水晶体被ばくの実態を明らかにしたと発表した。新型の水晶体用線量計「DOSIRIS」を用いて水晶体被ばくを正確に測定評価し、IVRでの軽量型放射線防護メガネの効果も明らかにした。東北大学 大学院 医学系研究科 教授の千田浩一氏らの研究グループによるもので、成果は4月3日付で、英科学誌「Scientific Reports」電子版に掲載された。
研究グループは、水晶体被ばくが特に多いと懸念されるIVRを行う放射線医療従事者の水晶体被ばくを測定評価した。DOSIRISを使用し、医師と看護師それぞれ10人以上のIVR放射線従事者を半年間にわたって測定。その結果、適切な放射線防護を行わないと、国際放射線防護委員会(ICRP)が勧告する水晶体線量限度の1つである年間20mSvを超過する危険性があることを明らかにした。
また、頚部に装着した個人線量計による測定値は、過大評価する傾向があることが示された。軽量タイプの放射線防護メガネは、水晶体被ばくに対して約60%の遮蔽(しゃへい)効果が得られることも分かった。同研究により、放射線医療従事者の白内障などの放射線障害発症の防止や、IVRを受ける患者の水晶体医療被ばく評価への展開が期待される。
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